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第1話
ナオトとカズキは二丁目の端にある、ひと気も疎らなゲイバーを好んだ。
カズキは週三回、この店でカウンターを任される。それ以外にゲイ向けの出張ホストに所属し、金が足りなければ日雇いで働きに出掛ける。そんな生活を二十歳から二五年間続けるカズキは、ナオトのセフレで、出会いはこの店だった。
ナオトは広告代理店に勤務し、収入はそれなりで羽振りは良い。秋物のコートは新調したばかりで、金持ちめとひがむカズキには、似合っていると褒められた。広告モデルなどの単発仕事も受けるカズキはファッションに厳しく、四五歳となった今も見目良く引き締まった印象で、同い歳のナオトのセックスの相手には申し分ない。
カズキは今日は非番で、カウンターにはママのシオンが入っていた。それでもカズキは日に一回は店に立ち寄る。仕事がないとき、金がないとき、カズキを店に置いて養ってくれたのはシオンママで、それに恩を感じている。
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