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『夢の続き』(4)
*
――え?
飛び起きた……?
「……直くん、大丈夫?」
目の前にいるのは、いつもの優しい眼差しの透さん。
いつもと同じ、漆黒の瞳。
「あれ……俺、寝ちゃってたのかな」
「うん、よく寝ていたんだけど、急に酷くうなされ始めたから起こしたんだよ。」
そう言って、心配そうに俺の顔を覗き込む透さんは、いつもの透さんだ。
じゃあ、やっぱりさっきのは夢?
点けてたはずのテレビも消えていて、透さんは吸血鬼コスなんかじゃなくて、いつものスーツ姿。
「な、んか……変な夢見てたみたい……」
「そうなんだ。じゃあ、眠気覚ましにシャワーでも浴びてくる?」
「うん、そうしようかな。出てきたらご飯にしよう。俺、今日頑張ってハロウィンメニュー作ったんだ」
「へえ、それは楽しみだな」
「へへ……俺も透さんに食べてもらうのが、すげー楽しみ」
チュッと、透さんの唇にキスをして、俺はバスルームに向かった。
「まったく、啓太が変なこと言うからだよ、あんな夢見ちゃったのは」
でも……、吸血鬼コスの透さん、ちょっとカッコ良かったかも……。なんて思うと、ちょっと顔がにやけてしまう。
服を脱いで、何気に洗面所の鏡に映った自分のにやけた顔を見て、苦笑した。
「……あれ? なんだこれ」
首筋にある赤い痕。
虫にでも噛まれたのかなと思いながら、鏡に近付いてよく見てみると、それは濃いキスマークにも見える。
「……おかしいなぁ」
その時、後ろで洗面所のドアが開く音がして、振り向くと透さんが立っていた。
「どっ、どうしたの? 透さんも一緒に入る?」
びっくりして、ちょっと声が上擦ってしまった。
だってさ、今、俺ってば、真っ裸なんだよ! え、いや……そんなの透さんにはいつも見られてるから別にアレなんだけど……ね。
「そうだね、そうしようかな」
そう言いながら、透さんはじっと俺の首筋を見てる。
「直くん、それ、どうしたの?」
「え? あ、これ……なんか、俺も分かんなくて」
そう言って、もう一度鏡を覗き込むと……後ろ立っているはずの透さんの姿が鏡に映っていない。
「……?」
不思議に思ってもう一度振り返ると、透さんはちゃんとドアの前に立っている。
「……直くん、それ……」
透さんがゆっくりと近付いて俺の顎を掬い上げ、赤い痕が付いている首筋に顔を近づけてくる。
「これ、キスマークじゃないの?」
「……透さん……これは……」
「誰につけられたのかな」
「え? 違っ!」
首筋をなぞる透さんの指先が、何だか妙に冷たく感じて、背筋にぞくりと寒気が走った。
「正直に言えないなら、お仕置きだね」
そう言葉が聞こえた瞬間に、透さんは俺の首筋に歯を立てた。
「……あっ」
痛いはずなのに、甘い痺れが身体中を駆け巡っていく。
熱い血が首筋を伝う感触がして、なんだかこれヤバいって思ってるのに身体に力が入らなくて……。
あれ? なんかさっきも同じ事があったような……。
「んん……」
俺の首筋を吸いながら、透さんの手が肌を優しく滑り、下へと下りて……もう既に腹に付くほどに反り返った俺の息子ちんに手が伸びて……。
なんか、首筋を吸われながら、下も触られているうちに目の前がクラクラしてきて……
あれ? どこからが現実で、どこからが夢なのか分からなくなってきたぞ。
――きっとこれは、夢の続きかな。
だけど、透さんが吸血鬼でも構わないや、なんて思ってしまってる俺もいた。
ま、いいや。
明日になったら、きっと目が覚めるだろう。
明日は休みだし、目が覚めたら、俺の作った坊ちゃんかぼちゃのグラタンを透さんに食べてもらうんだ。
2014.10.31
Happy+Halloween
やまなしおちなしいみなし・・・毎回恒例になりつつある801SSでした≦(._.)≧ ペコ
+ to be continued → →
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『Holic-恋人がサプリ-』――
透×直
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