『天野さん〜おはようございます〜』 いかにも眠そうな山崎が休憩所でコーヒーを飲んでいる俺のところへウダウダとやってきた。 『おはよ。ってか、シャキッとしろよシャキッと。』 『なんか梅雨ってウダウダになりませんか?？』 『それジメジメの間違いじゃねぇの？』 『俺そんなにバカじゃありませんよ!!』 なんともこのゆるい絡み。 山崎には本当癒される。 と、いうか… 幸せオーラが滲みまくっていてこっちまで幸せになるというか… 正直コイツがアッチだと知った時、もったいねぇと思った。 顔もなかなかのイケメンで、背も低いわけでもなく、仕事も何もかも一生懸命で… なのに今付き合っているのは職場の上司でそれも男。 世の中わかんねぇもんだなぁ… ウダウダ言いながらコーヒーを持つ山崎の左手の薬指に光る指輪。 小宮さんが大阪に行く時にプレゼントしたらしい。 ペアリングか… 憧れってのはあるよな…。 最近乙女思考になりつつある自分に驚きながらも俺の指のサイズって何号なんだろう？なんて妄想してみたり。 そう言えば彼女とペアリングをつけたこともなかったなぁ… というか、そもそも「お揃い」という概念がなかったので、そういう物をお互いに持たなかったというかなんというか…。 お揃いか… 山崎の左手を見ながらコーヒーをグイッと飲み干したのだった。