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27 幸せになるまであと182日-2。
『おう!!』
『あっ…遅くなってすみません!!』
俺の方が早いと思っていたのにすでに座敷に座っている西野さんを見つけ、慌てて靴を脱ぎ座敷へと上がる。
『お疲れ。』
『お疲れさまです。』
『ビールでいい?』
『はい!!』
西野さんが店員にビールを注文してくれ、すぐに運ばれてきたジョッキを片手に乾杯をする。
ことあるごとに東京に来てくれる西野さんには本当に驚かされる。
東京と大阪。
遠距離恋愛のハズなのに全然そんな風に思わないというかなんというか…
本当に付き合っているカップルだったとしても寂しくないんだろうな…って。
『仕事どうだ?』
『えっ?あ…毎日ノルマにヒーヒー言ってますよ。』
『ノルマか…懐かしいな。』
『そっか…西野さんは今、新人育成担当だからノルマないんですよね…』
『そうだな。でも外回りってのも結構好きだったんだけどなぁ…』
『確かにそうですね。サボれるし…』
『お前なぁ…』
『冗談ですよ。』
いつも楽しい。
同じ職場だからかもしれないが、仕事の内容の話もできるし、相談もできる。
本当に付き合えたら…もっと楽しいのかな…
だからダメだって…
すぐそっちの方向に思考が進んでいく。
最近重症化する西野さんへの気持ちは止めることができない。
『あっ!!そうだ。あれ持って来た?』
そうだった、そうだった!!と、頼まれていた資料を出そうとカバンを開け、グイッとその資料を引っ張り出した。
『あっ…』
その資料と一緒にポロンとピンクのリボンがあしらわれた袋が飛び出した。
『何それ?プレゼント?』
『いや…プレゼント…ではないですね…』
『怪しい…浮気か?』
ニヤリとしながら西野さんが俺を見る。
『浮気なんかしてませんよ。』
『ふぅ〜ん。』
なんだこの状況。
本当のカップルが浮気して弁解してるみたいじゃないか。
でも冗談でも浮気を心配されるとかちょっと嬉しいかも…なんて。
俺、変態かよ。
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