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28 幸せになるまであと182日-3。
『だから違いますって…浮気しませんよ。』
『本当かぁ?じゃぁそれ何?』
うっ…
もうここまで来ると渡すしかないよな?
神様、どうか気持ち悪がられませんように…
『これは…その…西野さんに…』
『えっ!?俺!?てっきり天野が誰かからもらった物なのかと…』
『あっ…じゃぁそういうことにしときましょうか。』
そう言って俺はカバンにソレをしまおうとした。
『待て待て。俺にくれんだろ?』
『そうですけど…』
そう言いながら渋々西野さんにソレを渡した。
『開けていい?』
『はい…』
ガサゴソと袋を開けて覗き込む西野さん。
俺はドキドキしながらその姿を見守る。
『クマ?』
『クマです。』
『うわー、ブサイク〜。』
『そこが気に入ったんですけど…』
『うん。可愛い。』
『えっ!?』
『俺、結構クマ好きだよ?』
『意外…』
『よく言われる。ってか、これ本当に俺に?』
『はい…ダメでした…?』
『ダメじゃない。嬉しい。ありがとう。』
その時向けられた笑顔に完全に心を持って行かれた俺は、居ても立ってもいられなくて机に突っ伏した。
『天野!?』
『そんな…可愛い顔で笑わないで下さい…』
突っ伏しながら言うとハハハと西野さんが笑った。
『可愛いのはどっちだよ。』
可愛い?
顔が上げられない…
頭の中で回る可愛いという言葉にドキドキと高鳴る心臓。
俺、可愛いのか?
あぁぁぁぁぁ、もうこの際だから言ってもいいか?なんて思いながら自分のクマをカバンから出す。
『じ…実は、お揃いなんですけど…』
『やっぱ可愛い。』
そう言われ、ボンッと音を立てて俺の頭から湯気が出たのがわかった。
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