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29 幸せになるまであと182日-4。
『天野、顔赤いけど?』
そう言われ、もう一度机に突っ伏してから顔を上げられないでいる。
『なぁ…そろそろ顔上げろよ。』
『嫌です。』
『なんで?』
『なんででも…』
『もう…』
そう言うと、西野さんがグイッと俺の頭を持ち上げた。
『はい。飲も!!』
無理矢理もう一度乾杯させられ恥ずかしいながらもビールを喉へと流し込む。
いっそこのまま酔い潰れてしまいたいぐらい恥ずかしい…
記憶を無くしてしまいたい…
いや、可愛いなんて言われたのを忘れてたまるか…なんて。
俺、本当マズイなぁ…
『なぁ、なんでお揃い?』
『こ…恋人同士なんで…』
『疑似だけどな…でも嬉しい。本当ありがとう。』
疑似だけどな…か。
やっぱそうだよな…。
言われるとわかっていたけど、少し寂しい。
あわよくば…なんて思っていた自分が恥ずかしすぎる。
西野さんは俺のことどう思っているんだろうか…?
『ごちそうさまでした。』
『どういたしまして。』
『いつもすみません。』
『いえいえ。』
『西野さん今日はどうするんですか?』
『うーん。泊めて?』
『はい…。』
2人で夜道を歩く。
今日は泊まるかな?なんて思い、部屋は一応片付けておいた。
計算高い自分に笑える。
ドアを開けて中に入る。
『先、風呂入りますか?』
『あぁー、どうしよっかなぁ…』
『どっちでもいいですよ。』
『じゃぁ一緒に…』
『入りません。』
温泉ならまだしもこんな狭い家の狭い風呂に2人でなんか入ったらどうなるか…
それよりもたぶん西野さんの裸にきっと俺のジュニアは反応する。
前の初詣旅行の時とは自分の感情が違うのだ。
『冷たいな…んじゃ俺先に行ってくる…』
そう言って寂しそうに西野さんが風呂場へと消えて行った。
なんだろう?
あの人はからかってるつもりなのかな?
というか、俺と風呂に入るのが平気ということはなんとも思ってないということだ。
まぁわかってたことだけど…
『お先。』
テレビを見ていると西野さんが風呂から上がりリビングにやって来た。
下はスウェットに上は裸。
上半身裸は何度見ても慣れない。
泊まることがあるからとスウェットは西野さんが以前に持って来てうちに置いてあったものだ。
なんだか恋人っぽいな…と前に洗濯しながら思ったこともあったなぁ…。
って、俺かなり変態じゃねぇか。
『じゃぁ俺行って来ます。冷蔵庫に酒もあるし適当にして下さいね。』
『あいよ〜』
そう返事をする西野さんにテレビのリモコンを渡し、風呂場へと向かった。
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