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30 幸せになるまであと182日-5。
髪を拭きながらリビングに行くと机に突っ伏した状態で西野さんが寝ていた。
机の上には缶ビールの空き缶が3本。
飲み過ぎだろ…
やれやれ…と、タオルを首にかけ西野さんに声をかける。
『西野さん!!西野さん!!起きてください!!こんなところで寝たら風邪ひきますよ!!!』
『んー。』
グラグラと揺すっても起きず、ウダウダしているのみ。
『はぁ…』
大きく溜息をつき、ベッドまで運ぶか…と、気合を入れる。
『よいしょっ!!』
ウーウー唸る西野さんの腕を自分の肩に回し、腰を持ちながら立ち上がると、寝室へと歩き出す。
重てぇ…
自分より身長が高い上に、寝てるときたもんだから重いのなんのって…。
『うわぁ!!!』
寝室に入り、ベッドへと下ろそうと思った時によろめいて一緒にベッドへとダイブしてしまった。
『重てぇ…』
上に乗っかる西野さんをどけようと腕に力を入れると西野さんの目が薄く開いた。
『あっ…起きました?ちょっとどいてくれません?』
『天野…』
『なんですか?重い…』
『キス…しよっか…』
『えぇっ!?ちょっ…何言っ…ん…』
唇に感じる温かい感触。
目の前には目を閉じた西野さんのアップがあって…
キス…しちゃった…
スッと離れて行く西野さんの唇。
『悪い。飲み過ぎた。』
そう言いながらゴロンと俺の上から転がるように退き、俺に背を向けるように寝転んだ。
唇が熱い。
そして俺の顔も。
ドキドキと心臓がうるさくて…
たったの2秒ぐらいだったかもしれないけれど、俺にはすごく長い時間のように思えた。
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