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Side:ユーリ

 どうでもいいが、俺を巻き込むな!!  カツ丼のやろう…カツ丼(夕食)作ってあげるから相談に乗ってなんて言われて、うっかり絆されたのが悪かった。そもそも昼間の時点であいつらの空気がおかしいことに気付いていたのに、自分から首を突っ込むことになるなんて。 「ユリオ!この近くに歯医者ない?できれば英語対応できるとこ。あと、明日の午前中に予約できそうなとこ!!」 「はぁー??んなもん、ヴィクトルに聞けよ!」 「それは無理!」  カツ丼が作るカツ丼(食べ物)が一人分だと気付いて、ダイエットでもしてんのかと思ったが……、そういうことかよ。   しょうがねえから、俺が昔行った駅前の歯医者を教えてやって、ネット予約までしてやったさ。丁寧に備考欄に『英語対応希望』て書いてな。  あ、俺は虫歯なんてねえぞ? ここはリリアに言われて、定期的にクリーニングしてもらってるところだ。地味な場所の割に対応が丁寧で、流石リリアお墨付きのところだけある。  それで無事に予約ができたかと思ったら、今度は惚気話ときやがる。  ヴィクトルは歯が綺麗だーとか、バレたら嫌われるーとかなんとか。知るか。  適当に流してたら、SNS経由でヴィクトルからメッセが飛んできた。さっき上げたカツ丼(美味いやつ)の写真を見たようだ。 『勇利はちゃんとご飯食べてた?変わった様子はない?』  おい思いっきり勘づかれてるじゃねえかよ!  溜息をつきながら、とりあえず『メシは食った』とだけ返信しておく。スープとお粥は食べてたから、嘘は言っていない。 「明日、虫歯が治ったら、ヴィクトルに告白するんだ」 「何をだ?虫歯だってことをか?」 「違う違う。その…ヴィクトルのことが好きだってことを…」 「は?」  何言ってんだこいつ。同棲して、あれだけ毎日くっついてて、リンクでキスしてるところも見たことあるぞ。お互いに大好きオーラダダ漏れなんだけど…気付いてねえのか? 「ねえ、ユリオなら好きな人に告白するときどうする?」 「はぁ…とりあえず花束でもあげればいいんじゃね?」 「分かった!ありがとう」  大丈夫かよこいつ。天然にも程があるだろ。

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