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第4話
「そこにいるのは誰だ?」
「僕です。隣人の陸と言います。」
「陸っ。誰からも貰えなかった愛が欲しいっ。どうかお願いだ。」
そういった途端、優さんはまた目を閉じてしまった。一瞬だけでも話せたから良かった。
誰も失いたくないから。誰も決して。
ー病院ー
「着きましたよ。」
ストレッチャーに乗っている優さんは弱々しそうで死んでしまうんじゃ出血も沢山していたから大丈夫じゃないということが分かっていても心配で心配で胸が張り裂けそうで両親と弟を亡くしたとき見たいにもう二度と喋れないのは悲しいから、前に助けて貰ったヒーローに恩返しをしたいから。こんな僕じゃ優さんに愛情を与えるなんておこがましいかもしれないけど、好きな人の願いだから。きっと僕のことも忘れてしまっているかもしれない。思い出さなくてもいいから今だけは側にいて欲しい。
俺は、どうしたんだろうか。隣にいるのは、隣人の陸らしい。そういえば、昔も隣人だったのも陸という名前だった。もしかして同一人物か分からないけどそうかもしれない。昔の記憶は全て忘れてしまったから。楽しかったことも、悔しかったことも、悲しかったことも蓋をしてしまったから。記憶喪失ではないけど思い出せなかった。
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