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第4話

呪術師はゆっくり湯に浸かった後、さて今度は髪でも洗おうと湯船から上がった。  しかし、そこでシャンプーが切れていることに気づく。  濡れた裸のまま脱衣所をゴソゴソ探るも見つからず、しばらく粘ったが結局男に聞きに行くことにした。  服を着るのも面倒でローブだけを羽織り書斎へ向かう。  「旦那ー?すまねえ。ちっとシャンプーの替えの場所がわから……」  呑気にドアを開けた呪術師は固まった。  「ああっ!せんせぇ、見ないでぇっ」  スライムの半透明な身体にねっとり食いつかれた男が、発情しきった顔で悶えていた。  だらしなく開かれた口からは絶え間なく嬌声が上がり、  男の体表面には、桃色をした半透明の粘液質がグジュルジグジュルと波打ってる。  大柄な男の体を顔以外半ば覆うように咀嚼して、服だけが殆ど溶かされており全裸に近い。  足を開ききりこちらを向かせられているせいで、屹立する男根もピンク色の蕾が苦しげにひくついているのも粘液越しに丸見えだ。  小癪なことに粘液の部分毎に硬さや形状を変えて責め続けているらしい。  男の太く逞しい肉茎には幾層も舌が巻きつき、上下に摩擦される所為で粘液は泡立っているし、 むっちりした胸には左右別々の吸盤状に変形したスライムが吸い付いてモグモグしている。  「やぁっ、これ、剥がれねえっ!んんっ!やめろぉ!」  剥がそうと掴んだ部分はスルリとすり抜けてしまう。  一方で固くなった舌がヌルヌルと男を捕らえて離そうとしない。  胸に吸い付いていた吸盤が変形する。  平らな板状の舌に豆粒大のイボイボが浮き上がって、男の乳首をすりあげた。  ごりゅごりゅと擦られる度、イボの隙間にぷりっと乳首が挟まり、その奥にある小さいトゲのような突起に先端を掻かれる。  「ああっそれやめぇ!」  熟れた乳首を容赦なく責められて男がもがくが、逃れることはかなわない。  下腹部や胸等の敏感な場所はスライムの層も厚く、肌に触れる面でヌルヌルチュウチュウと無我夢中で男の淫の魔力を啜っていた。  そして、表面に魚卵がびっしり並んだようなザラつく小さな舌が男の蕾をチロチロ探り、そこが完熟するのをじっと待っている。  スライムは焦っていない。ゆっくりじっくり味わって食事をするつもりらしい。  慣れた様子で手中の男根を扱き上げると、白濁液が桃色の粘液の中に放出される。  「ああっ!」  スライムは満足そうにその白濁を消化管に運び味わい、同時にようやく果てた筈の男の男根が粘液に揉まれてムクムクと蘇る。  「ひぃっ!ああっ、やめろぉ!」  呪術師が目の前の痴態に苦い顔で呟いた。  「今日預かったあれか……旦那の淫の魔力に反応したな」   ちらっと机を見る。  普通の人間には見えない術で隠して置いた小瓶が内側から割れていた。  元は無色透明だった筈のスライムは今桃色に染まっていて、それは美味そうに男を貪っている。  「封印が古くなってきたから再封印を依頼された訳だが、中身がまさかピンクスライムだとは、話が違うじゃねえかアグの野郎……あーあー、満遍なく桃色に変色して、こりゃ適合しちまってるなぁ」  「ぴんく、すらいむ?……ああん!」  スライム自体は村の周辺にも割と見かけられる小さい魔物だ。魔物ではあるがおおよそ人畜無害で、大きさも手のひら大。色は無色のものが多く、ピンクスライムという名前は聞いたことがなかった。  「黒の森の奥で小動物を捕食して暮らしているレアな魔物だ。普段は無色透明だが、淫に染まった強い魔力を持つ獲物に食いつくと巨大化。桃色に変色して適合し、それしか食わなくなる。そうして一旦適合しちまうと普通の駆除剤じゃあ取り除けねえ」  「そんなぁ……なにか、んっ、方法は、ああぁっ」  ピンクスライムが触れる場所全てにジンジンと甘い疼きが染み込んでくるようだ。 どうやら分泌物になにか含まれているらしい。頭にピンク色の靄がかかったようにぼーっとしてきた。  「特効薬はあるにはあるが……」  なぜか口が重くなる呪術師に、必死に男が叫ぶ。  「じゃ、あんっ、じゃあはやくソレを!くぅっ」  数センチほどの短い突起がびっしり生やされたスライムの舌が、男の胸と尻の割れ目をずるんと舐め上げる。前に、後ろに、通過する度に痺れるような痒いような快感が背筋を這いあがってきた。  「ぁあっンっ!…んッ、この!」  男がなんとか逃れようと残っていた最後の力を込めて身をひねるが、それすら水音ともに軽く受け止められる。  スライムの責め苦はやまない。  まだビリビリする男の乳首の周囲を、今度は柔らかなヒダのついた舌がゆっくり蹂躙していく。  ぷっくりと腫れている胸の果実は、今やスライムにとっては甘いキャンディも同様で、そこから滴る淫の魔力が一層ピンクスライムを増長させてしまう。  極上の快楽の蜜をこぼさないように、ヒダの一つ一つが一心不乱に震え続ける。  男が反応すればするほどこの魔物が喜ぶとわかっていたが、丘に打ち上げられた魚のようにビクビクと跳ねる身体は止められない。  「はやくっ、特効薬をぉっ!!ああっ!」  眉間にしわを寄せ、頭をボリボリ掻きながら呪術師が答えた。  「……適合したピンクスライムは非適合者の精液摂取でなきゃ駆除できねえ」  「はあ?!」  「要するに誰かに生で中出しされねえ限りピンクスライムは餌を離さねえんだよ」  「な……!ああぁっ!」  油断した所で乳首をコリコリ甘噛みされて男が喉をそらす。男はそれどころではないのだが、ピンクスライムもご馳走を前に平静ではいられないようだった。  呪術師は淡々と続ける。  「アンタ、確か独り身だったよな」  「ううっ……そうですよぉ!」   「こっから先はお手伝いじゃ済まねえ。幸いピンクスライムは気が長いし、旦那にゃ体力もある。すぐに殺されはしねえだろう。旦那、相手に希望はあるかい?もしあるなら今からすっとんで行ってなんとしても話をつけてくるが……」   眉を寄せる呪術師に、男は怒鳴った。  「バカですかあんた!」  「わっ!」  あまりの剣幕に呪術師が身をそらす。  男はさらに声を張り上げた。  「そんなこと今更聞くか普通!?おれは、おれは、先生が好きだって言ってるじゃねえかよ!」  一瞬我に返ったように鬼の形相になった男は、体の切なさも忘れて顔を伏せた。  「それを、こんな……もっとちゃんと伝えたかった……もっと格好良く気持ちを伝え直して、わかって貰うつもりだったのに……!」  二度目の告白に嗚咽する。  自分が情けなくて、格好悪くて、なにより呪術師に申し訳なくて涙が止まらなかった。  こんな惨めな姿で弱みを晒して、相手にねだるなんて、最悪だ。  (もう終わった……)  呪術師以外に抱かれるなんて考えもできない。きっと自分はこのままピンクスライムの餌食になって死ぬんだ。家畜のようにいつまでもイかされ続けるくらいなら、いっそひとおもいに殺してもらいたい。  その時。  絶望に沈んでいる男の顎を、呪術師が掴み上げた。  涙を舐め取り、唇を重ねる。  最初は唇で唇を食み、舌で前歯を転がして、驚愕して縮んでいる男の舌をすくい取った。 お互いの唾液が混じり合い、角度を変えて何度も何度も与えられる口づけは甘く、男の脳を激しく揺さぶる。  意味がわからないまま翻弄される男が息も絶え絶えに、ようやく言葉を吐き出す。  「な、なんでっ?」  「旦那が悪いんだぜ?」  呪術師はためらうこと無くピンクスライムに身を浸していくと、男の腰を取り、食い入るようにその瞳を見つめた。呪術師の持つオレンジ色の瞳は炎の石のように遊色を持って輝いていて、男が目をそらすことを許さない。  「俺がどんな思いで今まで堪えてきたと思ってるんです?これで今までの苦労はみぃんなパーだ!」  ピンクスライムに沈む巨体をかき抱いて再び唇を奪う。  噛み付くようなキスだった。  「せ、先生は、俺の事、好きじゃ、ないんだろ?」  溺れるように問う。  だが返事は嘲笑だった。  「俺は一度だって旦那のことが好きじゃないなんて言った覚えはねえよ」  「で、でも」  「俺は十分辛抱したし、忠告もしたぜ?旦那はそんな俺を突き落としたんだ、覚悟しろ」  呪術師のローブがピンクスライムに溶けていく。 ぐっと寄せられた腰に硬い感触。男が驚いて見下ろすと、そこには初めて見る凶悪な男根が血管を浮かせてそそり勃っていた。  白い肌の呪術師には不似合いの赤黒さ。  ボコボコとした凹凸が陰影もくっきりで、ビキビキと強張り、まるで東国の鬼が持つという金棒もかくやという有様。  呪術師の風貌にはあまりに異様でグロテスクな巨根にさすがの男も一瞬躊躇する。  いくらなんでも凶悪すぎねえ?  「ま」  「待たねえ」  がぶりと男の首に噛み付く呪術師。  白く尖った犬歯で、オオカミが自分の雌にするように男の逞しい首筋に跡をつける。  通常であれば相当痛むはずだが、ピンクスライムの粘液ですっかり蕩けた男には快感でしか無い。  「あぁンっ!」  「しっかり解してやるからそこは安心しな」  呪術師の長く細い指が男の後孔にゆっくり差し込まれた。十分すぎるほど解されたそこにはすでにピンクスライムがいくらか入り込んでいる。それを忌々しそうに呪術師は掻き出していく。  「あぁっ!」  「こんなところまで入り込みやがって、少しは遠慮しろってんだ」  熱く濡れる肉の蕾に入り込んでいる指は3本。ずっぷり飲み込んでピンクスライム越しにも赤く熱を持っている。  呪術師はかつてそうした時よりも幾分優しく肉壁を辿り、こりっとした部分を探り当てるとゆっくり揉みほぐしていく。  「ひぃぁっ!そこはっ、ああぁンっ!!」  くりくり、ぐちゅぐちゅ。こりこりこり。  緩急をつけた匠の技に、たちまち男は音を上げた。  ずっと欲しかった呪術師の指に、男の内側が歓喜に湧く。  「あああっせんせい、せんせぃぃ!もう、もういいから!もう十分だからはやくぅ……」  あまりの切なさに懇願し始める男。呪術師はそのあまりの可愛らしさに意地悪な顔になる。  「せっかくの初夜ですぜ?大事に抱かせとくれよ」  「そんなっ、ああぁン」  ピンクスライムに自身を強く吸い上げられ仰け反る男。その背中を細腕で難なく抱きとめ、太い鎖骨に花びらを散らす。  むっちりとした胸を揉み込んで、舌で乳輪をたどると男は目をつむってイヤイヤをした。  「だめぇっ、そこは」  「ここかい?」  乳首の天辺をカリカリと掻いてやる  「だめっ、ほんとに、おっぱいだめぇ、あああぁっ!」  男が弱いところならスライムよりも熟知していた。  呪術師の指が脇腹を滑り、舌が乳輪をなぞる。  声を噛み殺そうとする男の耳に低く囁いてやる。  「……ほら、堪えちゃ駄目だ。旦那のイイ声、もっと聞かせとくれ」  「ひぃっ」  掠れた声に男の背がゾクゾク震える。  抜けかけた腰を支えてやりながら体を脚の間へ滑り込ませる呪術師。  自身をグリグリ男の巨根に擦りつけた。  「あっ、ゴリゴリしちゃ、いやあっ!」  反らされ無防備な乳首をチュッと吸い上げながらコリコリ前歯で扱く。   男の弱点を捉えた的確な責めに、軽く達して痙攣する男。  だが男自身は果てることがない。腹の奥がどんどん熱くなっていく。体を這い回るピンクスライム達の感触が煩わしい。  今は呪術師だけを感じたいのに。  「そろそろ頃合いかね」  呪術師は男を四つ這いにさせ、自分のものをトロトロの蕾にあてがうと、男の耳に呪文のように吹き込む。  「これで旦那は俺のもんだ」  グロテスクな剛直で一気に貫かれる男。  「ぁああああっ!!」  暴力的な快楽への悲鳴。  真っ白になる。  散々慣らされイかされ、それでもなお貞操を守ってきた聖域が犯されてゆく。 できるだけ多くを飲み込もうとしているかのように、男のそこはヒクヒクと蠢き、呪術師をもっともっとと頬張っていた。  蜜でドロドロの肉壷に自身をすっかり埋め込む呪術師は、貫いたままじっと動かず男に声をかける。  「おい、大丈夫かい?」  いたわりの声も今は辛い。  内側からジンジンと響いてくるのは絶え間ない歯がゆさ。  ビクビクと雌イキを繰り返し、絶頂するが、後から後から甘い快楽が沸き起こってくる。  もっと激しいものがほしい。  このまま殺されても構わない。  あと一歩で手に入るのに、届かない熱が舌先にチラついた。  「いいから、はやく、動いてぇ、ああっ」  涙目で訴える男に、だが呪術師はわざとユルユル小さく前後させるだけだ。  「ひぃっ!なんでぇ?!」  今更なお焦らすつもりなのか、この鬼。  そう言いたいが唇が震えて思うように声が出ない。  優しく甘い刺激に男は腰をクネクネと揺らめかせ強請るしかない。  筋肉がみっしりついた尻タブを両手で掴み、一度大きく身を引く呪術師。  快感の期待に呻く男。  「はぁンっ」  だがあくまでゆっくりゆっくり貫く。肉棒の凹凸が粘膜に滑り込む。  「あっ、あっ、んっ!?こんなっ、どうしてぇ!」  焦らされるほど泡立つ肌。  目にたまった涙が頬を転がった。  「まあそう焦るな」  またゆっくりと引く。カリ首まで引いて、止める。  「ゆっくり初夜を味わおうぜ?」  ずぱんっ。  わざと一拍ためて、一度だけ勢い良く押し込まれる熱量。  ボコボコと乱暴に血管の浮いた男根は、充血した肉壁を容赦なく抉っては圧倒的な質量で翻弄していく。  もう何度目かわからない雌イキに目がくらみそうだ。  一方ピンクスライム達は活性化した男の淫の魔力に大喜びで、グチュグチュ波打ちながら男の両の乳首に吸い付き、鎖骨に噛みつき、脇腹をなで上げる。  肉体の結合部からおこぼれを貰おうと必死で這い回って、溢れ出る淫蜜に群がり、さらなる蜜を呼ぼうとしてまた男を責め立てる。  二人、桃色の粘液にまみれて蠢く度に水音が響く。  呪術師は猫がネズミをいたぶるように急所をあえて外した責め苦で男を苦しめる。  鞭として焦らし、偶に飴として勢い良く打ち込み抉る。  快楽をためてためて、弓が撓むように十分に引き絞っていく。  「言い忘れてた。俺は自分で言うのも何だがこっちのほうが少々強くてね。こうなっちまった以上、長丁場になるが頑張っとくれ」  ぐりっ、と男の結腸を肉棒の先端でえぐりこむ。  「ああぁんっ!そ、そんなの、き、聞いてないぃっひぐっ!ああっ、はあぁン!!」  ずちゅ、ずぶ、ぐちゅり、ぐちゅん!  ゆっくり、一気に、ランダムに抜き差しされるが致命傷にはまだ足りない。  ワザと外される攻撃と、時たま訪れる痛打に翻弄されるばかりの男。  痛みより強い快楽に自分の腹の奥まで食い尽くされる予感。  そして変わらず全身をねぶるスライムの感触に、男は気が狂いそうだ。  獲物を見る目でぺろりと薄い唇を舐める呪術師。  「まあ旦那に退屈されねえように俺も「色々」頑張るから、旦那にもこういう俺に慣れてもらわねえと、おっとっ」  イキそうな所でわざと腰を止める。  もどかしく身を捩る男。  「あぁンっ!い、イカせてぇ!!!」  「ホント、俺なんかに捕まって、可哀想になあ」  心底憐れむ目で見下ろす呪術師。  だがその口元は歓びに歪み、  両手は男を離さず、  呪術師自身で生かさず殺さず半死半生。  懇願する男をいつまでも、ゆるゆると弄び続けるのだった。  その数時間後、ようやく射精した呪術師によって男はピンクスライムから見事解放されたが、  「二人っきりになれたんだ。こっからがようやっとスタートに決まってンでしょう?」  の一言で男は呪術師の腕で軽々とベッドに運ばれて、翌朝の太陽が地に伏せるまで延々と貪られることになったという。

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