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第328話 番外編~拓真(36)~

「ありがと。そう言ってくれる森本君が好きだ」 「僕もです」 ギュッと抱きしめる腕に力が入る。 森本が顔を上げたのを見計らいキスしようと顔を近づけようとした時に「あっ! また流れ星‼︎」と星空を見上げ話す。 タイミングを失い、俺も森本を抱き締めたまま星空を見上げた。  満天の星空が輝き、まるで俺達だけが別世界に取り残されような……凄くロマンチックだった。 「流れ星に願い事すると叶うらしいですよ?」 「もう叶った‼︎ こうやって胸に抱き締めてる‼︎」 「…僕も」 森本の頬に手を当て顔を近づけ唇に触れるだけのキスをし、額を突き合わせ見つめた。 「ずっと俺と煌の側に居て笑ってて欲しい。これからは恋人として接するからな」 「はい。煌君の事も忘れずに話す本郷さんが…好きです」 「嬉しいよ。ありがとうな」 冷たい外気で抱きしめてた森本の体が冷めてきたと思い、体を離し「体が冷えてる。もう一度湯に浸かろう」そう言って2人で、また湯船に寝そべり星空を眺めた。 森本の気持ちが恋人として受け入れてくれた事に、星空を眺めながら嬉しさが込み上げてた。 俺は森本を大切にし…もう愛する人を悲しませたりしない! 同じ間違えは、犯さない‼︎ もう、あの時の俺とは違う。 今は煌も居るし……俺も大人になった。 これからは年下だが、しっかり者の森本と煌を含めて……幸せを掴む‼︎ 今回の旅行で、あやふやだった関係に終止符を打ち、心も体も1つになろうとしてたが……森本の気持ちが解った今は…余裕ができ、無理にセックスしなくても良いとすら思ってる。 焦らずに、森本がシタイと思うまで待っても良いかもな。 それが俺達の付き合い方だ。 俺は森本に任せようと思い直した。 森本も何か考えてるのかも知れない……2人の間には沈黙が流れ、静けさの中に川のせせらぎの音が聞こえる。 星空と川の音……静けさと愛する人が居る今の状況が身も心も癒される。 体も温まり、俺から動いた。 「先に上がるな。ゆっくり温まって来いよ」 ザバッと露天風呂から上がり、少し先に置いてた籠からバスタオルで素早く体を拭き浴衣を羽織って部屋に戻ろうとして、チラッと森本を見ると星空を黙って眺めてた。 そして俺は先に部屋に戻り、そのまま寝室に向かい窓のカーテンを開け放ち部屋の明かりを薄暗くし、ベットに寝転がり天井を見つめ考えた。 部屋には、星の明かりが差し込み落ち着く。 寝室に来た時に森本が何も言わずに、俺が寝てない方のベットに潜り込んだら……その時は、まだ森本の気持ちが男とのセックスに躊躇いがあると言う証拠だと思って、今日は諦めよう。 俺の事を恋人と認識してくれただけで充分だと思おう 男とのセックスに……いや、受け入れる方の森本の不安や葛藤はあって当然だ。 初めての体験で未知の世界に、森本の性格からして好奇心感覚では考えられないはず、相当の覚悟と勇気がいるはずだ。 心が通じてセックスもしたいのは山々だが、森本の事を考えると……やはり森本の気持ちに任せるしかない それでも2人で旅行でき気持ちが通じて、晴れて恋人同士になれただけでも充分だと思わないと。 少しの痩せ我慢と少しの期待とそしてごちゃごちゃ考え無理強いだけはしないと決めて、森本が来るのをドキドキ…しながら待ってた。 10分程待っただろうか? 俺にとっては長い時間に感じてた…その時に寝室の襖が静かに開いた。

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