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第75話 攻防戦(拓真)
それからの、俺の行動は、早かった。
まず、和希のバイト先に、必ず、木・日と行く事にした。あまり人が混まない時間帯に行き、今迄は、見てるだけでもいいと思ってたが、暇を見ては、和希に話し掛けたり、何度かどこかに遊びに行かないか誘ったりした。
バイト先の客でもあるから、流石に無視は、出来ないのか話し掛ければ話はするようになったが誘いは、上手く断られている。
ならば、サークルの後に、御飯に誘うと皆んなの手前、断りにくいのか、3回に1回は、御飯に行く。ただし、2人っきりでは無い。必ず、和希は、他の人を誘う。内田と3人だったり、中嶋と武史の4人だったりだ。なかなか2人っきりに、慣れないが可能性有りと分かった今は、前みたいに、イライラしない。どうやって、和希と距離を縮めるか?の方に頭が回ってるからだ。
そんな俺と和希の攻防は、周りの奴に分からないように水面下で行われてた。
2人っきりになろうと誘っても「バイトで疲れてる」「課題をするから」「用事がある」何度も断られた。
俺も考えて、じゃあ断れない状況にすれば良いと思い。
サークルの時に
「和希、久しぶりにラリーしないか?」と誘う。たまに、和希ともするから別に変じゃない
「いいけど、拓真上手いからなぁ」
「それなら、ハンデ付けてやるよ。遊びで 試合方式にしよう。和希、ハンデ付けても、負けちゃうかもな」ワザと煽る。
「ハンデ無しでもいいけど、拓真がどうしても付けてやるって言うなら、ハンデ有りでいいよ」ムッとして口先をつとがらせて言うから可愛い。つとがってる口をギューって、指で摘みたいが我慢だ。
「じゃあ、ハンデ有りで、お願いします」あははは。
「もう、仕方ないなぁ」ふふふ。
審判は、山瀬に頼んで、和希に2点与えてのハンデだ。和希もテニス経験者だから、ちょっとキツイハンデが絶対負けない。
空いてるコートに入って行く時に、和希に声を掛ける。
「和希が負けたら、俺と1日付き合えよ」って言って、和希が断れないように、直ぐコートに入る。自分が負けた時の事は、言わない。
絶対に負けないからだ。
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