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第76話 掛けた試合(拓真)

2-0から始まるハンデ有りの試合が、始まった、コートの中では、スコーン、パアン、パン、とラリーが続く。和希もやはり経験者だ、いいラインをついてくる、和希の体力を考えて、横に、ボールを散らばせ揺さぶる。走らせて、体力を奪う作戦だ。2-1.3-1.4-2試合が進ん行く内に、和希が少しずつ肩で息をするようになった。今、4-2で和希が優勢だ。 段々、俺の作戦が功を奏してきた、ここから、一気に畳み掛けてやる。サ-ブが決まり出し、スマッシュも決めるが、和希も負けないで 前に、ちょこんと落としたり、ロブを上げたり粘るが、体力の限界が来たのか、ダブルフォルトも出始め、俺の打ったボ-ルにも付いて行けなくなってきた。 4-3.5-4.5-5.最後は、俺がスマッシュを決めて、5-6で、勝った。 「ヤリィ-」思わず、ガッツポ-ズも出た。普段は、やらないのに、それ位、俺は必死だったようだ。自分で失笑した。 5-6で勝者拓真。山瀬が言う。挨拶をしコ-トを並んで出る時に 「和希、試合で負けたら、1日付き合う約束忘れるなよ。約束なんだから、逃げるなよ」勝手に決めた約束を言い、和希の返事を待たず、先に歩いて行く。和希は、律儀だから、約束は、守る、幾ら理不尽な約束でも。 俺、かなり必死だなぁ。また、自分に失笑した。

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