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光射す午後に16

もちろん、自分にはこんな怪しげな男たちの知り合いはいない。 「誰だ。あんたたちは」 薫は答えながら喫茶店のドアに手を掛けた。 何が目的のどんな連中かは知らないが、白昼堂々と無茶な真似はするまい。 ここは裏路地だから辺りに人影はない。 だが、店に入ればマスターや客がいるはずだ。 不意に男が動いた。 す……っと近づいてきて、こちらの腕に触れ 「お話をしたいだけです。一緒に来ていただけますか?」 口調も声音も穏やかで丁寧だが、こちらに有無を言わせぬ威圧感がある。 かまわずドアを開こうとすると、背中に何か硬いものが押し当てられた。 「何の真似だ。どういうつもりだ?」 「この写真の少年に、見覚えはありますか?」 背中に不穏な物を押し当てながら、男が写真を目の前に差し出してきた。 ちらっと見てみるが、知らない男だ。 ……いや……見覚えがある気はするが、男たちの強引な質問に素直に答える義理はない。 「知らないな」 「本当に?……では、こちらの青年に見覚えは?」 男はそう言って、別の写真を目の前に翳した。 見た瞬間、薫はハッと息を飲む。 さっきの少年と違って、こちらなら見覚えがある。というより、忘れたくても忘れられない。 「……樹」 思わず呟いていた。 男が微かに、ふ…っと笑った。 「ご存知なのですね?藤堂薫さん」 薫はドアから手を離し、くるりと振り返った。 男たちは全部で5人。 自分に話し掛けている男以外は皆無言で、半円を描くように周りを取り囲んでいる。 薫は目の前の男をじっと睨み、眉を顰めた。 「何故、俺の名前を知っている」 「質問しているのは、こちらです」 「その写真を、どこで手に入れた」 男は口の端を歪めて笑うと 「ちょっと事情がありましてね。うちの社長のマンションにご滞在いただいてるのです」 ニヤニヤしながら男がもう1枚、写真をこちらに向けた。 ……っ。 思わず声をあげそうになった。 さっきの写真は、先日会ったばかりの樹の姿だった。少し長めの髪の毛や服装も、全く同じだ。 そして今、男が見せている写真には、年格好は全く同じだが、全裸でベッドに横たわる樹の姿が写っているのだ。 うつ伏せで前は隠しているが、白い滑らかな肌や、美しいラインの背中、小さく引き締まった尻やほっそりとした脚も、ハッキリと写されている。 シーツにうつ伏せになり少し振り返った樹の横顔は、美しいが気怠げで眼差しも虚ろだ。 「何故……こんな写真を。誰が…」 「一緒に来ていただけますね?この青年が、貴方に会いたいと言っているんです」 唸るように絞り出した質問を、男は遮って畳み掛けてくる。

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