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月の光・星の光16

「美味そうっ。食おうぜ」 和臣は満面の笑顔で、トレーの上に乗った大きなハンバーガーの包みを手に取った。 病院から車で10分ほどの場所にあるハンバーガーショップに着くと、はしゃぐ和臣に急かされるようにして店内に入った。 こんな時間だが結構客がいて、明るい店内には、ジャズアレンジ曲が流れている。よくあるチェーン店よりも、少し大人っぽい雰囲気の店だ。 和臣はカウンターでたくさんあるメニューに目移りして散々迷った挙句、夕食後の軽い夜食とは到底思えないようなボリュームの、スペシャルセットを注文した。苦笑する月城に樹も笑いながら首を竦め、この店の看板メニューのセットを2種類注文してみた。 「なあ、そんなちょっぴりしか食わねえの?2人とも」 和臣はいそいそと包みを外すと、どうやって食べるのだろうと思うほどの厚みのハンバーガーを両手で掴んで、不満そうにこちらを見る。 「ちょっぴりじゃないだろう。これが普通だよ」 「君が、食べ過ぎ」 思わず月城と同時に突っ込んでしまって、樹はくすっと笑った。和臣はふんっと鼻を鳴らすと 「こんぐらい普通だし。月城さんはともかく、樹さんは俺とそんな歳、変わんないじゃん」 文句を言いながら大きな口を開けて、ガブリと食らいついた。 「んん〜っ美味いっ。ジャンクフード、久しぶり。やっぱ病院の食事ってさ、味も量も俺には上品過ぎて無理」 口をもごもごさせながら、唇の端についたソースを指先で拭ってペロッと舐めると、和臣はまた大口を開けてかぶりついた。 見ているだけで胸がいっぱいになりそうな、豪快な食べっぷりだ。 「若いなぁ、君は」 月城は少し呆れ気味にそう言うと、自分の分の包みを手に取り 「食べよう、樹くん」 樹は頷いて、先にセットのポテトを指先で摘んだ。和臣じゃないが、ハンバーガーショップなんて久しぶりなのだ。 「その感じだと、そろそろ君は退院してもいいかもしれないな」 「だろ?もうどこも何ともないぜ。薬の中毒症状なんてまったく感じねえもん」 和臣は飲み物で口の中身を流し込むと、ポテトを指で摘んで揺らしてみせる。 ちょっと行儀が悪いが、不快な感じはしない。 これは食べ方に限らず、和臣の全体的な特徴だった。ガラが悪くて口も減らないが、どこか憎めない愛嬌がある。自由奔放に見えて他人を嫌な気分にさせない、不思議な印象の青年だ。 「あ。美味しい……」 ハンバーガーをひと口頬張って、素直に言葉が出た。 ふかふかのバンズにジューシーで肉厚なパテ。ボリュームたっぷりの野菜はシャキシャキとして新鮮で、なるほど、人気があるのも納得だった。

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