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第32話

「瑞季っ!」 突然日向が飛び込んできた。 「えっ…日向…どうして…」 「お前と大河が屋上 上がっていくのが見えたから… 何回言えばわかるの? 俺はお前を捨てない!離れるわけない! 俺は…お前の両親とは違う! 俺は、お前と二人で幸せになりたいんだ。 『お前』と! 俺の将来?お前がいないと意味ないんだって。 そんなに心配してくれるんなら、一生俺について来いって言ってるじゃんか。 頼む、瑞季…別れるなんて言わないで!」 ぽろぽろと涙を零しながら、日向が叫ぶように言葉を紡ぐ。 側にいた大河が僕の肩をポンっと叩くと 「意地張っちゃダメだよ。瑞季、素直になれよ。」 と去って行ってしまった。 僕を見つめて泣き続ける日向… いろんな感情が(もつ)れ合って、いつの間にか僕も泣いていた。 「瑞季…こっち来て…」 優しく呼ぶ日向に、僕は我慢できず飛び付いた。 「日向…日向…大好き…」 ぎゅうぎゅう抱きしめ合って、頭をいい子いい子される。 そっと身体を離され、自然と唇が合わさって、僕達は長い長いキスをした。

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