82 / 229
第82話
あー、日向の『俺様スイッチ』が入っちゃった…。もう、こうなったら やりたいようにやられてしまう。
僕は思わせぶりに言ってみた。
「ねえ、日向、今日は優しくしてくれるんじゃなかったの?
さっきそう言ってたよね?」
「勿論だよ。たっぷり…優しくかわいがってあげるよ。瑞季、楽しみにしてな。」
いやいや、『たっぷり』って…
それはご遠慮申し上げるよ。
明日飛行機で移動できなくなったらどうするの?
僕はただ…二人で果てた後、ぎゅっと抱きしめ合って、そのまま眠りにつきたいだけ…
何か言いたげな僕に気が付いたのか、日向は
「くっくっ。お前が想像してるようなハードなことはしないよ。」
「ハードな って!そんなこと」
「わかってるって。
かわいすぎて虐めたくって堪らないよ、瑞季。
本当に…俺を信じてずっと付いてきてくれて、支えてくれてありがとう…
絶対、何があっても俺はお前と一緒にいるから。今までもこれからも。
お前が怖がってる全てのことから俺が守ってやる。子供の頃に欲しくて叶わなかったことも、俺が全て与えてやる。
だから、安心して俺に抱かれてろ。」
燃えるような、それでいて慈愛に満ちた瞳で真剣に日向が訴えてくる。
ぽろりと涙が溢れた。
その涙を舌先でそっと舐め取られ、上唇を下唇を甘噛みされる。
そのまま空いた隙間に差し込まれた舌は熱を持ち、歯列をなぞられ、背中からゾクゾクしてくる。
間違いなく、この男に愛されている…
じわじわと胸の辺りに暖かいものが溢れ出してきた。
ともだちにシェアしよう!