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第105話
だんだんと意識が戻ってきた。
寝室の天井が、焦点の合わない目に入ってきた。
えっと…僕どうしたんだろう。
確か家に着いて、日向がいて、顔見たら安心して…
ぼんやりした頭でそっと起き上がると、いつの間にかスーツが脱がされ、パジャマになっていた。日向が着替えさせてくれたんだ…
かちゃりとドアが開いて
「瑞季っ!気が付いたのか?
はぁーっ…よかったぁ。
お前、突然玄関で倒れたから…気分はどうだ?
休み明けの出勤後からずっと変だったから…でもお前が言い出すまで待ってようと思ってて…
早く聞いてやればよかったのに…ごめんな。」
日向が飛びついてきて抱きしめてくれた。
「…ううん。相談したかったんだけど…日向も休み明けで大変だろうと思って…」
「ばかっ。遠慮するなよ!何も言われない方が辛い…」
「うん。ごめんね。」
「お腹空いただろ?食べれる?」
「うん。ところで、今何時?」
「夜の11時過ぎたとこ。」
「えっ?そんな時間なの?…心配かけてごめんね、日向。」
「俺もまだだから、一緒に食べよう。」
日向はそう言うと、僕を横抱きにしてリビングまで連れていってくれた。
お腹空いてるのに、僕が起きるのをずっと待っててくれてたんだ…
ごめんね、日向。
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