119 / 229

第119話

「ようこそ拙宅へ!遠慮しないでがっつり召し上がれ。 では…俺達の出会いを祝して、乾杯!」 かちりとグラスが合わされる。もちろん凛ちゃんにはお子ちゃま用ワイン風ジュースを。 「最初にこれ、召し上がって下さい。」 出されたのは、丸くて薄いバケットと白いふわふわしたサラダみたいなもの。 「翔、これなんだ?」 「『バッカラ マンテカート』鱈のクリームと言えばいいのかな。まあ、前菜だな。新鮮なものが手に入ったので。」 バケットに乗せてパクリ。 「「「「うっわーーー!美味しー!!」」」」 「あの…お弁当といい料理といい、なんでこんなにお上手なんですか? プロの方…ですよね?」 恐る恐る僕が尋ねると 「ああ、自己紹介まだでしたね。すみません。 俺は五十嵐 翔と言います。こいつの…パートナーで、凛の叔父にあたります。 凛の母親は俺の妹なんです。 レストランでオーナー兼シェフやってます。 どうぞ以後よろしくお願い致します。」 「五十嵐 翔さん…あー、あの、ひょっとして超有名レストランのオーナーさんじゃないですかっ! 絶対予約取れなくて『幻のレストラン』って言われてる… えっ、そんな人の料理をサシで食べてる!? うわっ、マジかっ! すっげぇ!うわーーっ!」 日向が叫んでる。…日向、恥ずかしい… 「あははっ、そんな大袈裟なもんじゃないですよ。 ただのシェフですから。 それに、こいつのただのダンナです。」

ともだちにシェアしよう!