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第121話
僕達がリクエストしたのはイタリアンだったのだが、あっという間にカプレーゼや水菜とスモークサーモンのサラダ、魚介類たっぷりのパエリアは空っぽになり、すぐさま出来立てのラザニアに四種類のパスタが登場する。
その度に歓声が上がり、会話も弾む。
僕達の仕事や、片岡課長のこと、凛ちゃんの保育園の様子…話は尽きない。
五十嵐さんは会話に加わりながら、さりげなく空いた皿を片付け、次々と新しい料理を運んでくる。
すごい…全然違和感なくテーブルがキレイになっていき、すぐさま熱々の料理が目の前に並べられる。
あっ、マルガリータ!
料理の腕も超一流だが、所作もスマートで美しくて僕も日向も惚れ惚れと見とれてしまう。
だが僕達以上に熱い視線を送っていたのは…
「なんだ、智?惚れ直したか?」
視線に気付いた五十嵐さんに、相沢さんが揶揄われる。
「ばっ、ばかっ!そんなんじゃないって。」
真っ赤になり俯く相沢さん…いつもクールなこの人にこんな顔させるなんて…満面笑顔の僕達に気付いた彼は、(あっ、わー恥ずい、恥ずかしい…)と小さな声で呟いていて、それがまたかわいらしくて、笑ってしまった。
そろそろ満腹状態の俺達に、五十嵐さんが
「デザートにティラミスはいかがですか?」
即座に全員が手を挙げたのは間違いない。
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