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第122話
デザートの頃には、キッチンはすっかり片付いていたようで、五十嵐さんは相澤さんの隣に腰を落ち着けた。
あの短時間で、次々と出来立て熱々の料理を配膳し、空いた皿を片付けて…それもさり気なく。手際の良さもすごい。
この人、一体何者なんだろう。
繁盛するのは物凄く頷ける。
「あー、すっごい美味かったです!
もう、腹一杯で超満足…ほんっとにありがとうございます!
美味かったー!!」
「僕も!本当に美味しかったです!
大、大、大満足ですっ!ご馳走さまでした。
あの…とっても図々しいんですけど、レシピって教えていただくことは…」
遠慮がちにお願いする僕に
「もちろん!ダンナさんにいっぱい食べてもらってね。」
と、五十嵐さんはウインク付きの笑顔で返してきた。
イケメンのウインク攻撃に、僕は瞬間顔が火照るのを感じ「ありがとうございます。」と小さな声で答えた。
その様子を見てあわあわと一人で慌てている相沢さんを見て、五十嵐さんはニヤニヤ笑いながら、腰を引き寄せて耳元でささやいた。
「ばーか、お前だけに決まってんだろ。愛してるよ、智。」
真っ赤になった相沢さんは、急いで席を立つと
「おっ、大人の時間だから、凛はそろそろ部屋に行こうな。
西條さん達にご挨拶は?」
「おやすみなさい。またきてね。」
凛ちゃんはとびっきりのキュートな笑顔で二人にちゅーをした後でおやすみを言うと、歯磨きをしに、洗面所へ消えていった。
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