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第123話
「凛ちゃん、かわいくて頭のいい子ですね。
大人の言うこと、大人以上に全て理解してるみたいだ。
自分の立場も、あなた方のことも。」
日向が凛ちゃんの立ち去った方を見ながら呟いた。
「ええ、そうなんです。聞き分けが良すぎて…
もっと甘えてくれたらいいんですけど。」
「俺達のことも、誰よりもわかってて、応援してくれてます。
俺よりも智を上に見てる感がありますが…」
「うらやましいです。子育てできるなんて。
僕達には、叶えられないことですから。
僕は日向との子供を残すことができない…」
そう呟いて俯いた僕の肩を そっと日向が抱き寄せた。
僕がどんなに日向を愛し日向に愛されても、どんなにこの身体に愛の種を注がれても、それは絶対に根付くことはない…
思わず涙が溢れそうになるのを必死で堪えた。
「すみません!しんみりしちゃって。
この話をしに来たのに!」
日向が、パンフレットを出してきた。
「大人数でも、二人きりでも対応してくれます。
アットホームで、スタッフもすごく親身になってくれますよ。
スタッフの中にも、同性カップルがいます。
オーナーの橘さんは、俺の親父の友人で、パートナーは男性で…
だから、俺達みたいなカップルのことをすごくわかってくれるし、俺達も散々相談にのってもらってて。」
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