3 / 106
**星に捕まった翡翠**(3)
「綺麗だよ、レイ……愛している」
「……っつ」
いつからだろう。
こうしてキースに抱かれるたび、彼が愛を口にするようになったのは……。
おかげでレイは、あってはならない情をキースに抱いてしまった。
神の子は、神と星読みの声の双方を聞き取る。従って、中立的立場になければならない。
しかし、今はそれが難しくなっていた。
心がキースに傾きすぎたのだ。
それは、キースとの別れの時を意味している。
近いうち、自分はキースからも神からもお払い箱になるだろう。キースとの別れを考えれば、胸が痛みを訴える。
あと、どれくらいの時間を、彼と過ごすことができるのだろうか。
シンと静まった静寂の空間で、レイは静かに涙を流した。
しかし別れの時は意外にも早かった。
レイがキースに呼ばれ、天界からその身を降ろしてから一年を迎えたある日の早朝。レイにとって、恐れていたことが起きた。
レイはその日も明け方までキースからの言霊を神に伝えるため、抱かれ終え、深い眠りについていた。
その眠りを妨げたのは、突如としてドアを叩く音だった。
「星読み様! 昨夜は、神に水不足だということをお伝えくださったのですか?」
どうやらドアを叩いたのは、キースの従者だ。彼は血相を変え、早口でまくしたてた。
「無論だ。何故そのようなことを問う?」
「雨が降りませぬ!!」
「雨が……降らない?」
キースの動揺がレイに伝わる。
「っつ!!」
(ああ、もうダメだ……)
レイはきつく唇を噛みしめ、別れの時が来たのだということを悟った。
ともだちにシェアしよう!