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**星に捕まった翡翠**(4)
「キース、僕じゃもうダメだ。他をあたって。今から掛け合ってみるから」
レイはしなやかな身体にシーツを巻き付けただけの姿で言い争うふたりの前に進み出ると、胸の内とは裏腹に、淡々とそう口にした。
「ちょっと待て! 何を言っている? どういうことだ?」
早口で問うキースは、レイの肩を掴み、揺さぶる。
責めるようなその言い方に、レイの胸が引き裂かれるような痛みを感じた。
「お前が悪いんだ! 僕を、『愛してる』とか言うから!! 人間に恋をしてしまったから……神通力がつかえなくなった」
「レイ?」
「僕は貴方の言霊に捕まった……」
これで捨てられる。
レイは硬く目を閉ざし、俯いた。キースの手を振り払うと、重い足取りで部屋の入り口へと向かう。
その時だ。レイは力強い腕にふたたび捕らわれた。
「待て待て待て、何処に行く気だ?」
「出て行く。神には他の者を寄越すように伝えるから……」
瞼が熱い。涙が出そうだ。
それほどまでに、キースを愛してしまったのだと、レイは胸中を改めて思い知らされた。
キースはそっぽを向き、出て行こうとするその細い腕を掴み、天蓋の付いたベッドに引き寄せた。
いつも強気な態度のレイは、けれど今は違う。彼の口はへの字に曲がり、眉尻は下がっている。
キースはレイの両瞼に唇を落とすと、ひとつ微笑んだ。
「出て行かなくても良い。実はね、神に頼らなくても良い方法を計画していたんだ」
「えっ?」
「だからこのまま、ずっと俺の傍に居てほしい」
「だって、僕、もう、神の子ではなくなって……」
常に強気で、僕様の彼からは涙が溢れ、翡翠の目が歪む。
その姿に愛おしさを感じたキースは、また微笑んだ。
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