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**YU-U-WA-KU**(7)

 ――――。  ――――――。  はあ、はあ。  静かな宏一の部屋で俺と伸司さんの乱れた呼吸が聞こえて来る。 「……わたしはなんてことを!!」  伸司さんは俺を抱きしめながら、自責の念に捕らわれていた。  お願い。そんなに自分を責めないで。  誘惑した俺がいけなかったんだ。  それに俺は、伸司さんに抱かれて嬉しかった。  たとえ、想われてなくても。性欲処理でも、それでも伸司さんに抱かれたいと願ったのは俺なんだ。 「俺、伸司さんが好きです。だから抱かれて嬉しかった」  本音を言ってしまえば嫌われることは目に見えている。  だけど言わずにいられなかった。  だって俺、伸司さんに罪悪感を持った目で見られたくないんだ。  好きだから。  好きになったからこそ、負い目なんて感じてほしくない。  でも、これで終わりなんだ。  そう思うと泣けてくる。  でも、どのみちこの恋は失恋する。  だったらせめて、最後に伸司さんのぬくもりを知れてよかったじゃないか。  自分にそう言い聞かせても……。  ああ、やっぱりダメ。  涙が溢れてくる。  俺、こんなに伸司さんを好きだったんだ。  最悪だ。  失恋で恋の深さを自覚するなんて……。 「おじさんなのに?」 「年齢とかそんなの関係ないです。だって伸司さんはすごく素敵だから」  俺はグスンと鼻を啜って答えると、 「じゃあ、わたしの恋人になってくれるかい?」 「えっ?」  伸司さんはいったい何て言ったの?  信じられなくて顔を上げれば、俺が大好きな優しい微笑みがあった。 「ずっと好きだった。宏一の友達だからと、何度諦めようとしたか……」

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