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その眼差しは 9※

「はぁ……、あ」 眉根を寄せ、耐え忍ぶように唇を引き結んでも、隙を突いて悩ましい吐息が零れ落ちていく。 手の甲で押さえ付けても、淫らな声は快楽を悦び、彼の手を敏感に感じ取ってしまう。 思わず枕を掴み、縋り付くように引き寄せるも、皺を刻むばかりで獰猛な快感は防げない。 無意識に前へと這えば、下腹部へ回されていた腕に手繰り寄せられ、より深く指を咥え込みながら味わってしまう。 「あっ、うぅ……」 「逃げようとした? 何処にも行き場なんてねえのに」 「はぁ……、ち、が」 「じゃあ、何で俺から離れようとしたの? これ以上気持ち良くなるのが怖いから?」 「は……、あぁ」 中を掻き混ぜられる度、恍惚とした理性が掻き消え、もっといやらしい熱を欲して燻っていく。 本当は足りない、全然足りない、こんな事では満たされない。 彼はとうに分かっていて、熱情を肌へと擦り付けながら誘い、触発された自身からは欲望を吐き出したとは思えないくらいの白濁が溢れ出している。 僅かに腰が揺れる度に自身から浅ましい欲を散らし、狂おしい程の快楽を求めて身体が昂ぶり、請うように彼へと視線を向ける。 「いいの? このままで」 「ぜん……」 「そんな物欲しそうに呼んでもダァメ」 「お、まえだって……、我慢できねえくせに」 「別に一人でも慰められるも~ん。まあ、観念すんのが一番手っ取り早いとは思うけど? そしたら俺も虚しい事しなくていいし、真宮ちゃんも良くするよ……?」 すり、と臀部を擦られ、疼くような甘ったるい痺れを抱えながら、彼の手から逃れて強引に仰向けに寝転がる。 一気に指を引き抜いた事で、窄まりは僅かな快楽を追って収縮し、物足りなさが募っていく。向きを変えれば、目の前で膝を付く青年がよく見え、劣情を宿した双眸に捕らわれる。 互いに汗を浮かべ、途方も無い情欲に晒され、今はもう相手以外には誰も映らない。 唾液を飲み込むと、欲望を散らす下腹部を通り抜け、足を開きながら後孔へと指を滑らせる。縁をなぞれば、内部へと誘い込むように窄まりがひくつき、彼の視線に映り込む事でより深い渇望が生まれていく。 「いつからそんなやらしい事するようになっちゃったの?」 「関係ねえとは言わせねえ……」 「俺のせい?」 「お前のせいだ……」 「あ~あ、責任とらないと」 手を付いた漸が前のめりになり、少しずつ距離を狭めていく。 「お、まえのせいだ……」 「さっきも聞いたって。それで? どうしたいんですかァ、真宮ちゃんは」 「分かるだろ、バカ」 「え~? わかんねえ、イッテ。叩く? こんな時に」 「早くしろっ……」 切羽詰まった様子で語り掛け、不服そうに胸を擦る漸を見上げ、焦れたようにその名を紡ぐ。 「ぜんっ……、ん、んうぅっ」 すると、切なげに紡いだ口を塞がれ、舌の上で踊らされている間に後孔へと狂おしい程の猛りが注ぎ込まれていく。 「はあ、あ……、お、まえ……いきなり……」 「びっくりした?」 「そういうの、い、らねえんだよ……あ」 「なか熱くて気持ちいい。ずっと待ってたもんね?」 「うぬぼれんな、ばか……。あっ、ぅ」 「今怒られても全然怖くねえんだけど」 「なら、あとでたっぷり叱ってや、る……」 歯を食い縛るも、たまらない快感に声を抑える事が出来ず、甘ったるい溜め息が零れ落ちる。 ようやく満たされたそこは、彼からもたらされる快楽を離さず、奥まで咥え込みながら挿入を繰り返す。 熱情が行き来する度に思考が蕩け、腰が揺れれば自身からは白濁を散らし、だらしない痴態に溺れ落ちていく。 「は、あぁっ、そ、こ……」 「真宮ちゃんの気持ちいいところどこだっけ」 「はぁ、あ……、ち、が……」 「アレ? ここじゃなかったっけ」 「ば、か……ちゃんとやれ、あっ、んん……」 「ちゃんと分かってるでしょ? 褒めて」 「ふざけたからダメ、だ……あっ、あぁ」 「謝るから。ねえ、機嫌直して?」 「あ、うぅっ……はあ、あっ、やめ……そ、れぇっ」

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