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その眼差しは 8※
「ダメだ」
身体はとうに欲していたが、なけなしのプライドが唇から零れ落ちる。
掠れた声で告げれば、案の定へそを曲げたようであり、不服そうな表情が映り込む。
「なんで」
「ダメなもんはダメだ」
「答えになってねえし。目ェ逸らすなよ」
視線を逸らせば、すかさず彼の手が頬を擦り、軽く触れるだけの口付けが降らされる。
頬からこめかみ、額から耳たぶへと場所を変え、甘ったるい誘惑を紡ぐ唇が押し当てられる。耳元で囁かれると、痺れるような感覚が背筋を駆け巡り、むず痒い快感が湧き起こる。
咄嗟に顔を向ければ唇を奪われ、待っていたとばかりに舌をねじ込まれ、為す術もなく理性ごと絡め取られていく。
「ねえ、後ろ向いて」
情事の後を引く唇から提案され、暫くは乱れた呼吸だけが彼の耳を擽る。
すでに体力を奪われ、力ずくで快楽を煽られた身体を動かすのは億劫で、促すように頬を撫でられてもなかなか行動には移せない。
「真宮ちゃんてば動けないの?」
「誰のせいだと思ってんだよ」
「まだそんな足腰立たなくなるような事してねえじゃん。もしかして甘えてる? 俺に手伝ってほしいわけ? どうしよっかな~」
「んなわけねえだろ! さっさとやれ!」
警戒していたはずが、漸の軽口に釣られて飛び起きてしまい、要望通りに背を向ける。
しまった、とは思ったものの後の祭で、安い挑発に乗ってしまった事を後悔しても時は戻せそうにない。
俯せになった途端、彼の手が腰に添えられた感触があり、急に引き寄せられて僅かに戸惑う。
「テメ何やって……」
「足は閉じてて。はい、おりこうさん」
「なんなんだよ……」
「挿れられたくないんでしょ? ココはそうでもなさそうなのに」
「うあっ!」
窄まりへと無遠慮に指を突き刺され、不意打ちに情けない声が零れ落ちる。
抵抗する間もなく、二本の指で押し広げながら内部を行き来され、歯を食い縛っても上擦った声が溢れていく。
身勝手な振る舞いに苛立つも、快感はいとも容易く肉体を丸め込み、自身がまた不埒な熱を帯びていくのを感じる。
そうしている間にも、閉ざされた両腿の隙間から熱情が行き来するのを感じ、何とも言えない感覚が此の身へと襲い掛かる。
「あんまり素股って好きじゃねえんだけど」
「んっ……、は」
「でも、真宮ちゃんには効果ある感じ?」
「や、めろ……これ……」
「え~、やだ。真宮ちゃんてば俺にいじわるするんだもん」
「どっちがだよ……」
密着する度に、臀部を押し退けながら自身が這いずり、触れ合うと余計な刺激をもたらしていく。
中にいるわけではないのに、何故か淡い快感が芽生えており、しかし昇華出来ずにいつまでも下腹部で燻っている。
「おい……、漸」
「なあに」
「や、めろ……」
言葉とは裏腹に熱が籠もり、粘膜が触れて音を立てる度に、窄まりがひくついてしまう。
次第に思考が霞んで、律動を繰り返されて自身が昂ぶり、いやらしい白濁を溢れさせる。
ただ肌を滑るだけなのに、内部を暴かれているような錯覚に陥り、身体の奥が更なる悦びを求めて貪欲に疼いていく。
苦しい、燻った熱を抱え込む身体が悲鳴を上げ、僅かばかりの理性が焼き切れていく。
「なァんでまた勃ってんのかな」
「あっ」
「ねえ、挿れてないのになんで? またやらしいの出ちゃってるじゃん」
「あ、あぁっ……」
「ココもずっとひくついてんの知ってる? バレてないとか思ってる?」
「ち、が……、あぁ」
「何が違うの? これじゃ物足りないってこと? ねえ、教えて?」
再び窄まりへと指が押し入り、ぐりぐりと広げるように回しながら抉られ、拒む間もなく自身が涎を垂らして熟れていく。
白濁を掬われ、塗り付けるように擦り付けられ、それだけで狂おしい程の快楽が行き場を求めて暴れ回る。
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