784 / 1053

第15章の14

 どうにか社長が口を開き、 「その話…」 と、言いさしてやめた。 それに対して声が出せたのは、諒ではなく須藤の方だった。 「社長…」 「その人たちが知ってる、ってことは、ウワサはずいぶん広がってるってことだろうな。」 社長が言った<ウワサ>という言葉に、諒は少しほっとした。 が、社長も須藤も本気で困っていて… 「…一つだけ、手がかりはある、か…」 「何ですか、社長? 」 須藤が訊いてくれるのがありがたかった。 「いや、事実なら、麻也はそんなやり方はしないと思うんだ。」 それはどうして? とさらに明るめの声を出す須藤とは対照的に、諒は力なく、 「…麻也さんは遊び相手にはいい加減だったみたいですよ…」

ともだちにシェアしよう!