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第15章の14
どうにか社長が口を開き、
「その話…」
と、言いさしてやめた。
それに対して声が出せたのは、諒ではなく須藤の方だった。
「社長…」
「その人たちが知ってる、ってことは、ウワサはずいぶん広がってるってことだろうな。」
社長が言った<ウワサ>という言葉に、諒は少しほっとした。
が、社長も須藤も本気で困っていて…
「…一つだけ、手がかりはある、か…」
「何ですか、社長? 」
須藤が訊いてくれるのがありがたかった。
「いや、事実なら、麻也はそんなやり方はしないと思うんだ。」
それはどうして? とさらに明るめの声を出す須藤とは対照的に、諒は力なく、
「…麻也さんは遊び相手にはいい加減だったみたいですよ…」
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