840 / 1053

第16章の6

スタッフに呼ばれ、DJの2人も交えて打ち合わせをすませると、 すぐにロックファン向けの1時間番組だった。 「こんばんは! 今夜もロック・アドベンチャーの時間がやってまいりました! DJはアナタのベーシスト、ディスティニー・アンダーグラウンドの真樹と…」 「ドラムの直人です! そして今夜のスペシャルなゲストは…」 と振られれば、ボーカルの諒から名乗ることになっていたのに… どうぞ、と無理やり麻也は順番を譲られ、 「えっ? 俺? 」 と、おマヌケなことになってしまい、笑いが起こり、真樹は怒る。 「兄貴ぃ、早くっ! 」 「えーっ? 俺から? えっとぉ、ディスティニー・アンダーグラウンドのギターの麻也です! 」 天然ぽくなってしまい、それがまたおかしいと再び笑われていると、 諒の方はふざけてオネエ口調で、 「ボーカルのりょーこでーす♪ 今日はお店のアフターで、これが終わったら、 麻也さんとラブホでイキます♪ 」 「安いとこでいい? 」 「そこなの、兄貴? 」 「どーしてその手の返しは早いの、兄上? 」 直人にまで言われ、しまった、と麻也は本気でアセった。 プロモーション期間のよくある災難。 諒の影響で、自分のパブリックイメージが崩れていくという… リズム隊の怒りは今度は諒に向かおうとしたのだが…諒はすましたもので、 「え? もう一曲目ですか? ではニューアルバム<REIN>から<アシッド・ペイン>」 「まったくもー!!! 」

ともだちにシェアしよう!