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第16章の6
スタッフに呼ばれ、DJの2人も交えて打ち合わせをすませると、
すぐにロックファン向けの1時間番組だった。
「こんばんは! 今夜もロック・アドベンチャーの時間がやってまいりました!
DJはアナタのベーシスト、ディスティニー・アンダーグラウンドの真樹と…」
「ドラムの直人です! そして今夜のスペシャルなゲストは…」
と振られれば、ボーカルの諒から名乗ることになっていたのに…
どうぞ、と無理やり麻也は順番を譲られ、
「えっ? 俺? 」
と、おマヌケなことになってしまい、笑いが起こり、真樹は怒る。
「兄貴ぃ、早くっ! 」
「えーっ? 俺から? えっとぉ、ディスティニー・アンダーグラウンドのギターの麻也です! 」
天然ぽくなってしまい、それがまたおかしいと再び笑われていると、
諒の方はふざけてオネエ口調で、
「ボーカルのりょーこでーす♪ 今日はお店のアフターで、これが終わったら、
麻也さんとラブホでイキます♪ 」
「安いとこでいい? 」
「そこなの、兄貴? 」
「どーしてその手の返しは早いの、兄上? 」
直人にまで言われ、しまった、と麻也は本気でアセった。
プロモーション期間のよくある災難。
諒の影響で、自分のパブリックイメージが崩れていくという…
リズム隊の怒りは今度は諒に向かおうとしたのだが…諒はすましたもので、
「え? もう一曲目ですか? ではニューアルバム<REIN>から<アシッド・ペイン>」
「まったくもー!!! 」
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