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第16章の29
次の日も麻也と諒の帰宅は遅かった…帰り着いたのは朝の4時。
明日は…というよりもう<今日>だが、
プロモーションビデオの打ち合わせとリハーサルのために9時集合の予定なのに…
二人とも打ち合わせや音決めで頭も疲れてぼーっとしている…
と、麻也は玄関でふらついてしまい、後ろの諒に抱き留められた。
「おーっと、麻也さん大丈夫? 」
今の自分の頭にあるのは、諒の胸で憩いたいということだけのような気がした。
それしかわからなかった。
「…諒、察するのじゃ…」
「…じゃ、ってアナタ…王子じゃなくて長老なのね。」
「じゃあ諒はフケ専じゃ。」
諒は吹き出して、一度胸に抱きしめてくれると、
また方向転換をさせてくれて、腰を抱いて、肩を貸してくれて、ベッドルームに連れていってくれた。
「ねえねえ、何にもしないから、ベッドの中でぎゅ、ってしていい? 」
「えーっ…何もしないのぉ…」
麻也はわざと不満げな声をあげてみた。しかし、諒も見た通りかなり疲れているらしく、
「それじゃあ、チューまででいい? 」
「えーっ…」
「くーっ、麻也さん壊れてる日に限って…」
悔しがる諒がかわいそうになってきたので、麻也はベッドに座って諒を見上げると、
「うそぴょん。ごめんね。早く寝よ。」
「もーっ、水分はミネラルウォーターでいいねっ?! 」
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