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第16章の49(←諒のことで頭がいっぱいの麻也王子)

…麻也が家に着いても、やはり諒の姿はなかった。 でもまあ、疲れている様子とはいえ、 諒は最低限の生活はできているようなので少しほっとした。 それに、着替えの時少し様子をうかがうと、 昔のようにこれ見よがしのキスマークもつけていなかったようだし… (前髪、センターで分けてたの、新鮮で可愛らしかったなあ… 伸ばすのかなあ…) 誰かにすすめられたのかなあ… 見慣れないシャツ…あれ、どうしたんだろう… シャワーの後、髪を乾かしながら麻也はぼーっと考えていた。 (きっと三田さんあたりに泣きついたんだ。きっとそうに違いない。 あんなに似合うシャツだったんだから…) でも、もし、転がり込んだ先が女の子で、センスのいい子とか… (でも、大翔クンのこと考えたら、諒は軽々しく遊ばないと思うんだ…)  そんなことを考えていると…  また発作のように顔のあたりがぴりぴりしてきて…  かすかに来ていた眠気が消えていくのを感じる…シャワーを浴びたのに…   また眠れないのか、とうんざりしながら、とにかくビールを持って、 諒とはお揃いではないネイビーのパジャマを着た麻也は リビングのソファに… するとテーブルの上の携帯に着信を知らせるライトが点滅していた。  真樹からだった。留守電も入っていた。 <…俺、これからすぐ寝ちゃうけど、もし何なら諒に…何か探り入れてもいいよ。うん。 明日でも、こっそり兄貴の気持ちを聞かせて下さい…> (俺の気持ち…か…) 今となっては、この不眠が続く状態を諒にも知られなくてよかったと思う。 これが治るまで、諒がこの部屋に帰ってこない方が心配をかけなくていいかも… (…って、今なら心配もしてもらえないのかな…)

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