936 / 1053

第17章の42

 須藤からも言い聞かせられていたのだろう。 三浦は諒の言葉を疑う様子もなく、恐縮した様子で聞いていた。 「麻也さんはケンカも強いみたいだけど、アシストよろしく頼むね。」 「盾になります。高校の授業の柔道は強かったので。」 「えーそうなの? 麻也さんは剣道だから、早めに棒を持たせてね。」 そう言って三人で笑った…が、三浦の瞳の奥には寂しい色があったような… 自分のファンというのは本当だったのかもしれないな、と諒は思った。  そして、三浦が離れている麻也の方につれられ、 話しているのに諒は目を奪われたが、あわてて目をそらした。  そして…いざみんなでスタンバイして音を出し始めると、 ギターを持った麻也は、体はややふらついているようだったが、 いつも通り厳しさをたたえた表情や鋭い指摘で、 前代未聞のこのそわそわした空気も引き締めてくれる。  諒も、ダメ出しではあったが、久しぶりに麻也に言葉をかけられて嬉しかった。

ともだちにシェアしよう!