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第1話の14
実際、煮え切らない麻也に譲歩したような形で、「まあ少し休みなよ」と諒は言い、
1枚目のアルバムとツアーのサポートメンバーはすでに決められていた。
もちろんギタリストも。
かねてから親交があった立原龍紀(たてはら・たつき)という男だ。
麻也よりも三つくらい年上で、元はビジュアル系のバンドをやっていて、
麻也より身長は低いがルックスにも華がある。
ルーツになる音楽も似ていた。
…ディスティニー・アンダーグラウンド、通称ディスグラの…他のメンバーも次の活動が決まっている。
麻也の実の弟でベーシストの真樹は、パンク寄りのハードな男っぽいバンドを結成してボーカルもやる。
ドラムの直人はあちこちからサポートのドラムのお呼びがかかり、かなり広い会場からの再スタートになる予定だった。
(「ディスグラは世紀末のバンドだから解散します」とも言ったのに、諒が新世紀からデカダンス増量なんて矛盾してるよな…)
怒りが、こみあげてくる。
(でも、デカダンスって、世紀末のものだけではないのか…)
何にしても麻也が混乱しているところで、車は目的地のマンションに着いた。
(今はもう、とにかく休みたい…)
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