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第2章の11

 レコーディングなどの現場スタッフは親切だった。  ベテランのプロデューサーも、MA-YAとベーシストのKYOが作る曲をみて、 売れるまでの辛抱だからと、歌謡ロック風なアレンジを教えてくれたり、 また、ロックな作り方に近づくよう、アドバイスをくれた。  に、してもである。  今回のボーカリストもいまいち声量に恵まれなかった。  しかし、いつしかアイドル的にされてしまったバンドがボーカルを看板にしないわけにはいかず、 でもそれではあまりに弱いので、リハーサルからカッコいいギターを弾くMA-YAとの2枚看板で宣伝をすることになってしまった。  MA-YAの中では日に日に葛藤が大きくなっていった。 (いくらメジャーとはいえ、こんなバンドに在籍していていいのだろうか…)  でも、ああ宣言した手前、おめおめと実家に戻るわけにもいかない。 (一応はロックと言われているわけだし、もうちょっとやり方を見て勉強してみるか…)  

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