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第2章の10
そんな中、麻也はステージネームをMA-YA(マーヤ)とつけられ、
髪はやや長めの茶髪をパンクっぽくがっちりと立てさせられた。
金色、黒とそれぞれ色は違えど、メンバーはほぼ同じ髪型で、それは「デカダンス」の髪型にかなり似ていた。
衣装は少しポップな感じだったけれど。
でも、アーティスト写真もポスターも、上半身裸だったり、裸でも肩から上のショットだったりしたので、あまり気にしないようにしてはいた。
問題は初のプロモーションビデオだった。
若いメンバー全員が、露出の多い衣装の女や、
上半身裸の男を、自らも上半身裸に黒のレザーのパンツの姿で後ろから抱くというシーンは、
なんだかMA-YAにはあざとく思われてがっかりだった。
でもその後、モノクロの、メンバーが熱く演奏しているシーンが長いことで、どうにか怒りを抑えていたが…
が、それも単に会社側が「こんなに若いのに、こんなにキレイなのに、自分たちでちゃんと演奏できるんですよ」とアピールしたいだけのように思えるようになり、
MA-YAは興ざめしていった。
そして、いつしかターゲット層は「デカダンス」のファン層の次の世代になっていたようだが、後追い感は否めなかった。
マネージャーに相談しても、このマネージャーたち事務所スタッフが適当な人間たちで、うやむやな答えしか返ってこなかった。
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