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第2章の25
その日は地方でのライブだったが、事務所の坂口社長も駆けつけてくれた。
おかげでホテルのグレードもよかった。
何よりメンバーたちもほっと胸を撫でおろしていた。
社長はこの世界の裏も表も知り尽くしているとのことだったから、
どんなオヤジもババアも毒牙を見せることはできないだろうと…
ホテルの部屋に着くとMA-YAはマネージャーから、
「社長が、リーダーにだけ話があるっていうから、打ち上げの後、社長の部屋に行って。だから、打ち上げであまり飲まないで。」
「はい…」
「内密の件だから、本当に他のメンバーには内緒ね。でも、堅苦しくないよう、備え付けの浴衣でおいで、って。」
事務的に告げられ、MA-YAは驚き、あわててしまった。
(リーダーの自分にだけ話があるって、何だろう…)
何だか心配だったが、せっかくのライブの最中はそれも忘れた。
少なくなったような気がする客の前で、全力でギターを弾き、観客をあおっていた。
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