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第5章の31
「やー、でも、無事できて良かったよ。何しろ本で研究しただけだったから…これこれ。」
と諒がカラーボックスから引っ張り出してきた「ゲイの恋愛実践本」を見て、
麻也は思わず吹き出してしまった。
…でも、諒が本当に男は初めてだったとわかって、嬉しいけれど…すまない…
でも、麻也は笑みをどうにかキープして、
「こんな本、どこにあったの? 」
「駅前の本屋の奥まったところ。まだ俺、顏覚えられてないから…」
「でも、こんな男前がこんな本…一発で覚えられちゃったね。」
「やっぱそう思う? 」
諒も笑いながら腕をほどくと、
「あ…麻也さん、今キレイに拭いてあげるね。」
「ごめん、シーツべとべと…」
「今そこにタオル敷くから。ちょっとまったりしてからシャワー浴びよう。」
「うん。まだ下半身がだるい~…」
麻也は横になると、諒に全部任せてしまった…
気がつけばもう夕方だった。
夕闇が迫ってくると思うと、恭一に助けてもらったあの夕方を思い出し、嫌になる。
(…でも…やっぱりあの時、死ななくてよかった…)
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