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第10章の36
「いやあ、束縛の多い恋人とかに見えちゃって、諒は恥ずかしいかと思って…」
すると諒は、そんなことは考えてもみなかったというように、
「そんなことないよ。『家族ぐるみのお付き合い』に持ち込んで、撃退してやるっ!
…って、いくつくらいの人? 」
「俺より10歳くらい上かなあ…」
「なら大丈夫。まかしといて。」
そして、苦笑いしながら、
「麻也さんもこれからそういうことが多くなるとは思うけど、今回みたいにその都度、
俺に通報してね。」
通報って…やっかいなことになりそうだが…
「諒もそれは同じだよ。」
しかし、なぜか返事はない…そして、
「俺は麻也さんに心配かけたくないから…」
と、目を伏せる。
麻也は何だか自分だけ信用がないようで腹が立ち、
「話違うじゃん。じゃあいいよ、俺は裏ルートを使うから…」
すると諒は真顔で驚き、大声をあげた。
「何だよ!その『裏のルート』って! 」
これには麻也の方がびっくりしてしまったが…
諒本人もうろたえている。
「いいじゃん、別に…」
と言ってから、麻也は嫌な予感がしてはっきり言った。
「真樹と直人と、あと須藤さんたちと社長。」
すると諒はほっとした顔になり、でも、
「なあんだ…」
と、その先の言葉はのみ込んだのがわかる…
諒は自分のことをどこまで知っているのか、
どんな噂まで聞いているのか、やっぱり問いたださなければいけないのかと、
麻也は暗い気持ちへと落ち込んでいく。
が、それはどうにか押し殺して、
「…でも本当に、諒も俺に通報してよ。」
「大丈夫だよ。俺、麻也さんほどモテないし。」
「またあ、こんな時ばっかり…」
「俺はあなたの『じいや』ですから。」
「まだ根に持ってるの? 」
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