428 / 1053

第10章の36

「いやあ、束縛の多い恋人とかに見えちゃって、諒は恥ずかしいかと思って…」 すると諒は、そんなことは考えてもみなかったというように、 「そんなことないよ。『家族ぐるみのお付き合い』に持ち込んで、撃退してやるっ! …って、いくつくらいの人? 」 「俺より10歳くらい上かなあ…」 「なら大丈夫。まかしといて。」 そして、苦笑いしながら、 「麻也さんもこれからそういうことが多くなるとは思うけど、今回みたいにその都度、 俺に通報してね。」 通報って…やっかいなことになりそうだが… 「諒もそれは同じだよ。」 しかし、なぜか返事はない…そして、 「俺は麻也さんに心配かけたくないから…」 と、目を伏せる。 麻也は何だか自分だけ信用がないようで腹が立ち、 「話違うじゃん。じゃあいいよ、俺は裏ルートを使うから…」 すると諒は真顔で驚き、大声をあげた。 「何だよ!その『裏のルート』って! 」 これには麻也の方がびっくりしてしまったが… 諒本人もうろたえている。 「いいじゃん、別に…」 と言ってから、麻也は嫌な予感がしてはっきり言った。 「真樹と直人と、あと須藤さんたちと社長。」 すると諒はほっとした顔になり、でも、 「なあんだ…」 と、その先の言葉はのみ込んだのがわかる… 諒は自分のことをどこまで知っているのか、 どんな噂まで聞いているのか、やっぱり問いたださなければいけないのかと、 麻也は暗い気持ちへと落ち込んでいく。 が、それはどうにか押し殺して、 「…でも本当に、諒も俺に通報してよ。」 「大丈夫だよ。俺、麻也さんほどモテないし。」 「またあ、こんな時ばっかり…」 「俺はあなたの『じいや』ですから。」 「まだ根に持ってるの? 」

ともだちにシェアしよう!