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第11章の70
その日は午後からレコーディングで、麻也のギター録りだった。
が、本人にはなかなか納得いく出来ではなかったらしく、何度も止まる。
諒は、ベルネとの対談前日の麻也のダメ出しの嵐も忘れて、はらはらしていた。
…それで思い出し、直人にそれとなく、マッサージのてんまつを話し、
大笑いされながらも口裏を合わせてもらうようにも頼んだが…
残念ながら一晩くらいでは疲れが取れたわけではなかったようだと諒は思った。
その後、大幅に時間は遅れたが、諒のボーカル取りに移った。
ただ、こちらも歌詞の手直しが続き…さらには諒の調子もイマイチで…
(俺も結構疲れてたんだな…)
夕食の弁当タイムが気分転換だったが…
麻也はかなり機嫌がよくなっていて、直人からベルネたちの話を聞き、諒に彼らの連絡先を訊いたりもしていた。
が、この日は時間が押して、ボーカル録りは途中で終了。それでも家に着くころには2時を回っていた。
リビングの明かりをつけると、麻也は困ったような表情だった。
ちょっと冷蔵庫の方へ向かいかけたような、かけないような…
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