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第11章の71

「あ、いいよ、麻也さん、遠慮しないでビールくらい飲んで。 でも、シャワーの後の方がいいんじゃない? 」 そう言うと、麻也はほっとした表情を浮かべた。 今日は夕食時にも飲めなかったし、諒はレコーディング中は禁酒なので… バスルームに向かう麻也の背にも、諒は声をかけた。 「寝る時、またマッサージするね♪ 」 振り向いて、うん、とうなずく麻也の照れた笑顔は少年ぽく、 さっきまでのスタジオでの表情とは全くの別人だった。 (…もうこんな時間なのに…俺、誘われてる? )  …麻也と入れ替わりに、諒が全速力でシャワーをすませ、ベッドルームに入ると、 麻也はもうベッドの中で裸になっていた。  うつ伏せで、雑誌などをぱらぱらめくり…セクシーポーズ? 毛布からのぞかせ、立てたその右の素足に…実は諒はプレゼントを計画しているのだが… …に、しても、今日は珍しくわかりやすい誘い方…? (あんまり口に出さないヒトなのに…それともマッサージがそんなに気に入ったのかな…) 「諒、どしたの? 」 そう言いながら諒を見上げてくる目は、もう、もう… 「ま、麻也さん、ビールは? 」 「1本だけだから、もう飲んじゃった。」 その微笑みも可愛い。 「…んー、じゃあマッサージ、始めるね…」

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