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第12章の82
「これがもしかして、藤田冬弥ってコ? 」
直人の問いに服部がうなずいたので、諒はまた写真に手を伸ばす。
「麻也さん、この子のプロデュースしてるってこと? 」
と写真を手渡されたので、麻也も見ないわけにはいかなくなった。
「ああ、この子。」
ちょっと事情もあるだけに、周りの反応もとても気になってしまう。
「その様子は、麻也さんと合わないパターンだな。」
直人が言ってくれたのでほっとしたが…諒は浮かない表情だ。
運ばれてきた弁当を受け取りながら、見かねた真樹が、
「どしたの、諒? 」
「ううん。ウチらの誰のファンかな、って。コイツ。」
(…やっぱりわかってしまうか…)
麻也がひやひやしていると、直人もあきれ顔で、
「コスプレまでしてるし、ボーカルなんだから、そりゃ諒のファンでしょ。」
「そうかなあ? まあ、麻也さんに手ェ出したらぶっ殺すぞ、と。」
(もうぶっ殺してほしいわ~)
麻也は内心思ったが、言うのも恐ろしく、弁当に気を取られたふりをしていた…
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