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第12章の86

 須藤にはすぐつながった。 ちょうど諒も終わったところで、すぐに合流すると言ってくれた。  そうと決まれば選定作業だ。  ギターのコーナーにみんな移動し、忙しくてチェックしきれていなかった麻也は前田に、 最新の先輩ギタリスト情報を聞いたが… 「…シンプルなデザインで、っていうと、色で差をつける、ってことになるんでしょうけど…」 青、紫、緑、赤、オレンジ…みな有名どころのギタリストにもう使われているのだ。 「かといって、白とか黒、うーん、メタリックもありますしねえ…」 真樹が冗談で、 「ピンクは? 」 というと、前田は初めて気づいたように、 「ああ、そういえば、いないですよ。髪がどピンクの方々も、 ギターは違うから…どうですか、麻也さん? 」 「えーっ、でも、ピンクぅーっ?! 」 「呼んだ? 」 びっくりして振り返ると諒だった。みんなで大笑いしてしまった。 「そりゃピンクだわ~!!」 「何? 本当は何の話? 」 「諒、前田くんたら、オリジナリティーならピンクのギターだって勧めるんだよお…」 と、麻也がふくれっ面をしてみせると、 いやーん、可愛い~と言って、諒はその頬を人差し指でつんつんする。 みんな目を背け…やっと真樹がみんなを代表して言った。 「…そういうのはステージの上だけにしてくれよ…」

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