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第12章の85

 3人で恭一の楽器店に着くと、恭一と談笑している先客がいた。 リハーサル帰りの真樹と直人だった。 「考えることはみな同じ、だね。」 みんなで笑うと恭一が、後輩で、ギターの担当の前田を呼んでくれた。 「兄貴、今日はどんなの買うのさ? 」 「えへ、ちょっとね…」 「麻也さん、何照れてんの…」 運命を変えるかもしれない買い物だけに、麻也もちょっと口ごもる。 が、気心知れた仲間だけに、思い切って、 「いやあ、次のツアーから、トレードマークになるようなレスポールがほしいかな~なんてね。 間に合わないかもしれないけど、まあ、ボディーのデザインの下見かな…」 「あーそれいいねえ。俺も、楽器やらないファンにもわかるような、派手なヤツほしいかもな…」 「真樹もそれ探す? 」 「いや、今日はいい。今日は気分転換に来ただけだから。」 「じゃあよかったら選ぶのつきあってよ。晩メシおごるから。」 「麻也さん、俺もいい? 諒も呼んだ方がいいんじゃない?」 直人に言われて、麻也は諒に付き添っている須藤に電話をした…

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