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第12章の88
すると、恭一は笑いながら、スタンドミラーを持ってきて、
前田はフューシャピンクというのか、
シンプルなデザインに上品な深みのあるピンクのレスポールを持ってきて、
麻也に持たせる。
「今日の黒の服にも似合ってるし、ヒョウ柄にもいいし、
さらに白の衣装だと、王子様感がハンパないですよ。」
横から恭一も、
「俺がファンなら、そのレプリカ買ったら抱いて寝るね。」
「それはダメですっ! もー、恭一さんたらっ! 」
諒が珍しく恭一に反発する。
「ええーっ、諒くん、ギターだよ。それにレプリカだよ? 」
「それでもダメ! 誰でも許せない…ギターは麻也さんの命ですから! 」
「じゃあこのピンクで。」
「毎度あり~♪ 」
諒の主張をよそに商談は決定した。
「は? 麻也さん? 俺の立場は~? 」
「いや、やっぱり、キスシーンの時に、これが一番似合うと思うから…」
麻也の、凛々しいギタリストの顔に、諒は胸をキュンとさせながら賛成した。
「あ、なるほどね♪ やっぱりそうだよねえ~♪」
メンバーとマネージャーたちは失笑し、恭一と前田は密かにガッツポーズをしていたが、
見つめあう諒と麻也は、まったく気づいていなかった。
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