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第13章の53

直人に付け足した真樹に、社長は、 「真樹がそんなこと言うなんて珍しいな。 音楽だけじゃなく、色んなジャンルのアーティストや関係者が集まる 会合なのに。 トップアーティストの世界にカオが売れるなんていい機会じゃないか。 先生のモデルになれれば箔もついて他のバンドより目立つし、 ファン層も広がるかもしれないぞ。」 すると真樹はメンバーを代表してこう答えた。 「みんなの顔がむくんでいない日だったらね。」 「真樹ぃ~…」 社長はがっかりして叫んだが、諒は朝のケンカと遅刻の負い目があるので、 「社長、それなら俺が一人で、メンバーを代表して行きます。 今日の中止の責任もあるし、バンドの看板として…」 「いーや、全員だ。麻也も主役のセンセイとその取り巻きくらいには挨拶してくれ。 それで帰ってくれて構わないから。東京ドームも近づくぞ。」 そう言われると麻也は無理に笑顔を作り、 「わかりました。帰る時は会場の真ん中を突っ切ってきます。」 「麻也さ~ん!! 」

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