703 / 1053

第13章の52

すると、社長の方がなぜかすまなそうに、 「直人が言ったとおりだよ。で、ちょっと気分転換を用意したから。」 真樹が不機嫌そうに続ける。 「時代の最先端をいくパーティーだってさ。」 諒と麻也がきょとんとしていると、社長が、 「さっき2人には話したんだけどな…」  さる大御所の写真家の還暦祝いのパーティーだという。 「若い人に支持されているアーティストも招待したい」と、 レコード会社の社長経由でディスグラにお声がかかったのだという。 しかし レコーディング期間を理由に事務所は断った… のを、今日、こんな状態ならせめて営業活動を、と思った社長は、 むりやり頼み込んでチケットを融通してもらったのだという。 「5人分しか手配できなかったから、メンバーと須藤くんで行ってもらう、と。」 「それで真樹と俺は交渉してたわけさ。レコーディングを休むなら、 せめて、麻也さんと諒にオフをくれと。」 「まあ、リズム隊もだけど。その方がよっぽど有意義だって。」

ともだちにシェアしよう!