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第13章の63

「…あそこに直人立ってんじゃん。」 「うんうん。」 「その横の、OLっぽい3人組の真ん中の子に、 直人、ひとめぼれしちゃったらしいんだ。」 「いいねえ、青春だねえ~…」 ほぼ既婚者気分の諒は、同じような立場の真樹に微笑んだ。 すると真樹も笑い、 「せっかく人数はそろってるし、直人にはいつも世話になってるんだから、 ここはひと肌脱がない? 」 「いいけど、直人の希望はお持ち帰りじゃないんでしょ? 」 「もちろん、アイツも真面目だし。 それに何かあっても、<マネージャーがいましたから>で通ると思うし。」 直人に向かって歩き出しながら諒は念を押した。 「麻也さんにはナイショにしてね。」 「それはこっちも同じだよ。恵理ちゃんにはナイショね。」 と、壁際に3人集結したところで、女の子たちは諒を見てあわてふためいた。 「あ、あの、テレビに出てる人ですよね! 」 「それを言うなら、ロックやってる方ですよね、でしょ? 」 直人の本命の子は驚いてはいるのだが、やや落ち着いて見えた。

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