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第13章の67

「うーん、志帆ちゃんにたまに会うたびうらやましくなるだけで、まだ探してる最中なんです。 とりあえず英会話は習ってますけど…」 (志帆ちゃんがいい子でも、友だちがミーハーじゃあ困るな…) そう思ってきた諒は直人のために、さりげなく尋ねた。 「え、じゃあこの三人はいつも一緒じゃないの? 」 すると美咲は寂しそうに、 「うん…そうですね…大学の専攻を仕事に生かせたのは志帆ちゃんだけで、 休みの日も彼女は楽しく美術関係の勉強をしてるから… 友美ちゃんと私は最近…ね、距離を感じてる…かな…」 諒は嬉しさを隠して、優しく美咲を見つめ、 「そうか…難しいね…でもわかるよ。俺たちも大学の仲間と一時は距離できちゃったもん。」 美咲はちょっと微笑んだ。 「諒さんて、本当に優しい人みたいですね。」 「えー、何、その<みたい>って…? 」 冗談ぽく怒ってみせると、 「テレビとかだけじゃわからないですもん。実際に会ってみないと。」 と言ってようやく笑顔に戻ったが… (これで俺が本気のナンパならいいけど…今の俺は、こっからクールダウンさせないと…) そう思って、諒は美咲から目をそらした。 見ればねらった通りカップルタイムになっている。

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