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★麻也王子のツアー初日前夜→18-90
…薬をのみ、口実にしようと思っていたミネラルウォーターを飲んだが…
(…うーん、どうしよう…)
気分は変わらず、自分の中心から湧き上がってくるものが抑えられない感じ…
明日はツアー初日だというのに…だからといって…
(そっか…諒がいつも自然にクールダウンさせてくれてたから、
初日前夜の緊張もほぐれてたんだ…)
…麻也は重い足取りでベッドルームに戻った。
パジャマの諒は明かりを間接照明に変えて、ベッドのヘッドボードにもたれかかって座り、
考えごとをしている様子だったが、待っていてくれた。
(…ん、まあ、こっちからチューくらいしてみるか…)
「諒、また明日からもよろしくね。」
恥ずかしそうに諒は笑って、さらに意外なことに麻也の唇を頬で受けた。
が…諒の手が麻也のバスローブの中に当たってしまい、
「あら、麻也さんたら、もー。」
と、珍しく本人よりも顔を赤くしながら、麻也のローブのベルトを楽しそうにほどき始めた…
もちろん麻也は王子らしく、を隠れみのにして、突っ立ったまま、されるがままになる…
しかし…シーツの上で諒は唇を重ねてはくれず…
でも、麻也は半ば意地になって諒の大きな美しい手の中で昇りつめた…
(いつまで薬のことを誤魔化し続けられるだろうか…)
そう不安に思いながらも…諒に見守られながら、麻也はいつしか眠りに落ちていった…
(第18章 夜のための白い粒 終わり)
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