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★夜を持てあます麻也王子→18-89

(...明日、とうとう初日か...)  麻也がどうにかシャワーを終えてベッドルームに入ると、 諒が二人それぞれのツアー用バッグに荷物を詰め終えたところだった。 しかしそれを見た麻也の頭にまっ先に浮かんだのは、 (あ、薬忘れてた...) しかし、その一瞬の沈黙の意味を諒はわかるはずもなく、 「...あ...ごめん…荷作り、余計だった? 必要そうなものざっくりと入れただけなんだけど…」 Гううん、ありがとう。助かった。」 麻也がそう答えると、諒は嬉しそうに麻也のバッグを手渡してきて、 「では、こだわりの品はご自分でお願いします…」 と言うので、うっかり麻也は、 「あ、それならさっそく、諒クンを…」 と嬉しくて両手を差し出してしまい… 気づけばあっという間にベッドに押し倒され… 「そうじゃなくてっ! バッグに入れるのっ! 」 「バックは麻也さんも嫌いじゃん! 」 「バッグだってばっ! 」 しかし、ここで、諒は珍しく手を離し、 「...あ、こんなことしている場合じゃございませんでしたね...」 と、冗談めかした笑顔ではあったが体を起こすとこれでおしまい、という風に、 ぱんぱん、と両手を打ち、横になりたそうな様子だった。 でも、麻也は無意識のうちに期待してしまったようで、自分の気持ちを持て余す… しかし、さらにそこで、麻也はまた薬をのんでいないと気づき… 「先に寝てていいよ。」 と言い置いてベッドを降りた。 どしたの? と言う諒の声を背中で聞きながら、麻也は自分の部屋に向かった。  

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